第二対決……? ―1
サレナが自室へ帰り着くと、珍しいことにヒースはまだ帰ってきていないようだった。
いや、この場合珍しいのは門限よりもずっと早く戻ってきたサレナの方なのだろう。
いずれにせよ、この方が都合はいいのかもしれない。
何だか一人でいたい気分だったわけだし。
サレナは鞄を机に放り出すと、制服から着替えもしないままベッドに身を投げるようにして寝転がった。
「…………」
仰向けになり、何を見るでもなく天井を見上げる。
ぼんやりしているのは目の焦点ばかりではない、頭の中も同じくらいぼんやりと、モヤがかかったようになってしまっている。
昼間に受けたあの精神的な衝撃がずっと尾を引いていて、そのままどことなく調子が傾いている感じだった。
授業中もそうだし、生徒会で仕事をしている時もそう。
どうにか全部を表面上は普段通りにこなせたけども、それで精一杯でもあった。
なので、生徒会が終わると挨拶もそこそこに、そそくさと一人急いで寮に戻ってきたのだった。
「はぁ~……」
目を閉じ、大きく息を吐く。
こうしてぼんやりしたままもう五分くらい経ってる気がするが、相変わらず頭も心もモヤモヤしている。
それでも、そろそろ思考をまとめなければいけない。
そのために、こうして一人じっくりとその海に沈むことが出来る自室へと帰ってきたのだから。
それにまあ、こうしてだらだらと寝転がっているおかげで少しは持ち直せてもいるはずだ。
自分にそう言い聞かせると、サレナはゆっくりと、ぐちゃぐちゃに絡まった糸を解くように頭の中を整理しながら考え始める。
……まずは昼間のことを、もう一度思い返してみよう。




