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このゲームを百合ゲーとするっ!  作者: 一山幾羅
第一対決
60/149

菫色アプローチ大作戦 ―2

「――要は"イベント"を起こすのよ。二人の間に」


 作戦会議再開ということで、(片方は無理矢理)体育座りに戻らせた二人の前で、サレナはまずそう前置いてから説明を始めた。


 サレナの考えた作戦とは、一言でまとめると『ゲームの中で主人公(サレナ)とアドニスの間に起こるような"相手の好感度が上昇する胸キュンイベント"を、こちらの世界ではカトレアさまとアドニスとの間で起こす』というものだった。

 一般的に、乙女ゲームにおけるそういう胸キュンイベントはプレイヤーをキュンキュンさせるのと同時に、そのイベントの相手となる攻略対象キャラクターの主人公(ヒロイン)への好感度を上昇させるものとなっている。

 つまり、それを現実でも人為的に再現出来れば、ゲームの通りに相手からの好感度が上昇……とまでは、相手がゲームのキャラクターではなく心を持った人間である以上そう上手くは行かないかもしれないが、少なくとも何らかの好印象を与えたり、相手の心に影響を及ぼして動かせる可能性は高い。

 まして、それは一応その相手の好感を呼び起こすものとして練り込まれ、考えて作られたイベントである。

 見ず知らずの人間にそれを仕掛けるよりは、そのイベントの対象とされた相手に対してなら、それ専用に特化した威力を発揮して、相手の心へクリティカルに刺さることも十分考えられる。


 となれば、後は話は簡単だ。

 サレナ(わたし)の記憶している攻略対象との好感度上昇イベントを、落としたい攻略対象に合わせていくつか仕掛けていけばいい。

 今回はアドニスを落としたいので、アドニスと主人公(サレナ)の間で起きるはずのイベントをというわけだ。


 そして、もちろん、それを起こす主人公(ヒロイン)とはサレナではなくカトレアさまである。

 別にサレナ自身がアドニスを落としたいわけでは微塵もなくて、あくまでカトレアさまにアドニスを落とさせたいのだから当然そうなる。


 要するに、カトレアさまを主人公(ヒロイン)としてゲームのアドニス攻略ルートをプレイしていく――というよりは、その"もしも"を現実で起こしてみる。

 簡単に言えばそういうことになる。


 そうして全部が上手くいけば、ゲームの中で主人公(サレナ)とアドニスが結ばれたように、この世界ではカトレアさまとアドニスが結ばれるかもしれない。

 断言は出来ない。だが、勝算は決して低くないとも思う。


 ということで、既にこの作戦会議の時点でサレナの中では方針は決定されていた。


 『ゲームのアドニス攻略ルートにおける主人公(ヒロイン)を、サレナからカトレアさまに入れ替える』。

 そのために、本来ゲームで主人公(サレナ)とアドニスの間に起こるはずのイベントを、この世界ではカトレアさまとアドニスとの間に起こしていくように裏で暗躍する。


 一体誰が?


「私達がだよ!!」


 サレナはグッと握り締めた拳をかざしながら、ヒースとアネモネに向かってそう叫んだ。


 そんな自分の方針を、ゲームという概念はぼかしつつ二人に説明したサレナであったが、


「はぁ……?」


 説明を受けた二人は何だかピンときているようなきていないような、曖昧な様子であった。


「……ええと、まあ、要するに……カトレアさまとアドニス先輩との間に、二人の仲が急接近するような出来事(イベント)をいくつか起こすってことよ。私達が裏でそれをセッティングして、実行することでね」


 サレナが非常にシンプルに圧縮してそう言い直すと、ようやく二人も腑に落ちたらしく、仲良く揃って「なるほど」と頷いてくれた。

 サレナもそれに対して満足げに頷きを返し、次の話へと移っていくことにする。


「というわけで、今から私がその二人の間に起こすつもりのいくつかのイベントの内容を話していくから、それについて二人の意見を聞かせてちょうだい」

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