99.雲に乗る
竜王子カイルーンをぶっ飛ばし、屈服させることに成功した。
私はいよいよ、竜王国スカイ・フォシワへとやってきたわけだ。
奴隷1号ことトリトンに乗った状態で門をくぐる。
まばゆい光を感じた次の瞬間……。
「どわっち!」
トリトンは、雲の上に居た。
眼下に広がっているのはどこまでも広がる白い白い雲の海……。
ひゅう~……。
「って落ちるじゃないのよ!」
「雲の上に乗れないですー?」
「……雲は水分なので、乗ることはできないです!」
「わー! 落ちるのですー!」
竜達は飛べるからいいけど、トリトンをはじめ私たちは通常空の上で暮らすことができない!
「ということで、ここに来るときまでに作って置いたこれを! 食らえ!」
私はトリトンの外に向かってポーション瓶を放り投げる。
「しぇーーーーーーるじゅ! 狙撃!」
「アイ・マム」
シェルジュが見事な狙撃の腕をもって、ポーション瓶を打ち抜いた。
中身がぶちまけられたその瞬間……。
ぼよよお~……ん。
トリトンの体がバウンドして、上空へと浮かび上がる。
その後何度かバウンドしたあと、雲の上に着地した。
「……! す、すごいですセイ様! 雲が、固まっています! ただの水分の塊なはずなのに!」
「これぞ私の作ったポーション、【天駆ポーション】。雲を固めて、空の上を歩けるようになったのよ」
「わー! すごーい! ねえねえ、お姉ちゃん、ぽいんぽんしてきていい?」
ダフネちゃんが固まった雲を見て、私に尋ねてくる。表現がかわよ。
「いいわよ。遠くに行かないでね」
「はいなのです! いこ、スィちゃん!」
「…………!」こくん!
ダフネちゃんとスィちゃんがトリトンから降りる。
ぽよよーんとバウンドして、実に楽しそうだ。
「さすがマスター。くもかためがすぅ~、を作り出してしまうとは」
「は? 天駆ポーションだから。名前違うし、なんでダミ声? あとなんで伸ばすの?」
「様式美です」
なんのこっちゃ。




