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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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84.ゆけ、トリトン


 私はトリトンを舎弟にした。


「さて、地上に戻りましょうか」

「「「はーい!」」」


 奴隷ちゃんズは今日も可愛い。うんうん。

 そんな中でロボメイドシェルジュが小首をかしげながら言う。最近動作がいちいち人間っぽくなってきたわね。ロボのくせにこざかしい。


「戻るといっても、どうやってですか? かなり距離がありますが」

「そんなときに、手に入れたパシリの出番でしょう? ダフネちゃん」


 ラビ族奴隷のダフネちゃんかわいらしく小首をかしげる。きゃわわん。そのままお持ち帰りしたい。


「マスター、ワタシの時とリアクションが違います」

「ダフネちゃん、ゲットした悪神を使って、地上まで載せてってもらいましょう」

「マスター、無視してはいけません。さみしくて死にます」


 うざロボをほっといて、ダフネちゃんにトリトンを使わせる。


「どうやって外に出すです?」

「それは……」

「ここはワタシが説明いたしましょう」


 またシェルジュが邪魔してきよった。ったく、すぐ割り込んでくるわね。なんだてめえ、かまってちゃんか?

 あ、かまってちゃんか。


「ダフネ様、このポーション瓶をですね」

「ふんふん……わかったのです!」


 ダフネちゃんがうなずくと、胸につけていたポーション瓶を手に取る。


「えとえと……【トリトン、君に決めた!】のです! えーい!」


 ぺいっ、とダフネちゃんが瓶を投擲する。

 海の中なので、投げても前には飛ばなかった。わかる、それさっき私もやったわ。


「てゆーか今の何?」

「様式美というやつです」

「あ、そう。シェルジュ。撃ってあげて」


 シェルジュが銃弾で、投げた瓶を撃ち抜く。

 怪物モンスターポーションは、瓶を壊さないと中に閉じ込めた怪物がでてこないのよ。


 ポーション瓶が壊れると……。

 中から、馬鹿でかいクジラが出現する。

『さっそくのお呼びっすねダフネの姉御!』


 さっきまで調子載っていた神(自称)だけど、いまではすっかり私たちの舎弟だ。

「おい三下。マスターの姉御への挨拶が先だろうが? ああん?」


 シェルジュがクジラにがんとばしていた。

 別にいいんだけど、挨拶とか。


『ひぃいい! さ、さーせんした!!!! セイの姉御!』


 ぺこぺこと何度もクジラが頭を下げる。

「あーあー、もういいから。さっさと私ら乗っけて、地上までつれてって」

『あいあいさー!』


 がばっ、とトリトンが大きく口を開く。

『ほほなはに、はひっへふははい』

「シェルジュ、アレなんて言ってるの?」

「ロボメイドをもっと愛してください、とおっしゃてるのでは?」

「みんなー、こいつの口の中に入るわよー」

「マスター、いけずぅ~」


 私たちはクジラの口の中に入る。水がすぅ……と抜けていく。

 私たちは変身をといて、人間の姿に戻った。


「あんた、私ら消化したらただじゃすまないわよ?」

『ひぃ!! そ、そんなことしないっすよ! それより……客室がありますので、そちらにご移動ください』

「客室?」


 私たちがいるのはクジラの口の中だ。

 端っこの壁が、にゅぅう……と変形し、穴が開いた。


 私たちは穴をくぐると……。


「あらま、お部屋に入ってるじゃないの」


 ベッドやソファといった、生活していくのに必要な調度品が用意してあったのだ。


「あんたが飲み込んだもの?」

『いえ、我の力っす。体内限定で、我の思い描くものを創造する力です』

「あれま、役に立つわね」

『光栄っす!』


 なんかうれしそうなクジラ。

 ロボメイドが不満げにうなりながらいう。


「+10ポイントですね」

「なんのポイント?」

「セイ様ポイント」

「なんのポイントよ……」


 たまるとなんかいいことでもあるのだろうか。私が?


「まいいわ。私らは優雅に船旅するから、さっさと地上へ送ってちょうだいな」

『了解っすー!』

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ビカ?」(呼んだ?)
[一言] 陸はメイド・海はトリトン 空は何になるんでしょうね
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