表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/215

79.師匠の依頼



 海底にやってきてる私たち。

 小休止を取る傍ら、師匠からの依頼内容を確認する。


「神を倒します。おわり」

「「「なるほど……!」」」

「ちょいちょいちょい」


 ロボが待ったをかける。


「なによ?」

「話はしょりすぎて伝わりません」

「あそう……まあいいわ。悪神あくしんっていう、悪い神様が地上にはいくつか封印されてるんだって。師匠は、その封印がほつれてないかどうか調べ、封印を解いて暴れていたらそれを封じる役割を秘めてるんだそうで」


 全国放浪していたのは、そんな役割があったからなのね。


「この海底に悪神の一人がいるから、倒してこいだってさ」

「マスター。そんなのあのゴミにやらせておけばよいのでは? 自分の使命なのに」


 ゴミて。

 まあこのロボからすれば、師匠は娘をほっといて放浪するゴミ親みたいなもんだろうけども。


「どうにも師匠は、私が生きていた500年前と比べて力が衰退してるらしいのよ」

「はっ! ざまぁ……!」


 シェルジュ、ほんとに嫌いなのね、フラメル師匠のことが……。

 まあわからんくもないけど。


「……フラメル様はどうして力が衰退してるのでしょう? 不老不死の存在なのですよね?」


 かしこいゼニスちゃんが話について来る。

 トーカちゃんとダフネちゃんとスィちゃんは、食事ポーションをちゅうちゅうと吸って、黙って話を聞き流してる。難しい話は苦手なのよね。


「ま、不老不死っていっても、薬を使って寿命延ばしてるだけだし。完璧な生物ってわけじゃないから」

「……なるほど、無機物じゃないゆえに、ほころびは生じると」

「そゆこと。で、どうにもその悪神ってやつ、今2体同時に暴れてんだと。普段の師匠なら一人で二つ相手にできるけど、力が弱ってるから、私に助力を願い出てきたってわけ」


 しっかしあの完全無欠の師匠が、衰退なんてねえ……。

 この500年でいろいろありすぎでしょ、天導教会とか。


「マスターがやってあげる義理はあるんですか?」

「ないわね。自分でやれよとは思うわ」

「ではなぜ手伝うんです?」


 なぜと言われても、まああの馬鹿が私の師匠だからだ。

 あの人が孤児だった私に力を授けてくれたから、今がある。


 ……まあ、なんというか、恩義的なものは感じてるのよね。

 でもそれを人前で言うのははばかれるし、親に対して憎しみを抱いてるロボの前で言うのは、ちょっと気が引けた。


「ま、観光の一種かしらね。悪神とかいうやつの顔を拝んでみるのも面白いかなって」

「……観光スポットじゃないですよ、セイ様」


 ゼニスちゃんが苦笑しながら息をつく。


「……しかし悪神がいる場所に、われらのような足手まといがついていってもよいのですか?」

「大丈夫なのです!」「主殿が居れば!」「…………!」


 まあかわいいこといってくれるじゃないの、奴隷ちゃんズ。

 するとロボメイドもまたため息をつきながら言う。


「……気遣い下手」

「あん? なんだよー」

「……別に、あのひとに恩義があるから、それを返したいって言えばいいのに」


 どうにも私が気使ったことがバレてるらしい。


「でもあんたそれ言ったら、拗ねちゃうでしょ」

「ほぼ100で拗ねますね」


 自分よりししょう優先するのかみたいな感じで拗ねるって思ったわけだ。


「現在進行形で拗ねております。これは早急にご機嫌を取る必要があるかと」

「あ~? なんでロボのご機嫌なんて取らないといけないのよ」

「問題。奴隷たちに何かあったとき、素早く動いて彼女たちの盾になれる優秀なロボメイド、ってだーれだ?」

「うっざ……」


 日増しにこのロボが、人間っぽく……というかうざくなってる。


「ほらほら、マスター。魔力を供給しておくべきかと」

「はぁ? 今?」

「なう」


 ふっ、とロボが余裕の笑みを浮かべる。


「それともマスターは、人前では恥ずかしいのですか? やれやれ、とんだネンネです……むぐぅう!?」


 私はロボの頭を掴んで抱き寄せる。


「……せ、セイ様!? なにを!?」

「え、魔力供給」


 私はロボの唇に、自分の唇を重ねる。

 ……このロボに魔力を渡す方法。それは、粘膜による接触なのだ。


 どこのあほが考えた方法だよって……師匠が作った方法だ。

 しかたないから私はこのロボに、口移しで魔力を渡すのである。


「あわわ……」「…………」あわわ「え、えっちいのでござる……!」「…………」


 私は魔力をわたしたあと、シェルジュから顔を離す。


「おら、これで十分だろ?」

「はい。とっても」

「まったく面倒な供給方法よね……って、どうしたのみんな?」


 奴隷ちゃんズ、顔真っ赤にしていた。

 

「お、おねえちゃんが……ちゅーしてたのです……」

「ふっ、すみませんねお子様にはこの映像は刺激が強すぎましたね。もっとも、ワタシとマスターとの大人のキスは……」


 私は訂正しておく。


「キスじゃなくて魔力供給だから」

「マスター! そんな事務的ないいかた! キスでしょ!?」

「ロボとのキスなんて壁に唇付けてるのと同じだし」

「なん……だと……」


 その場に膝をつくロボメイド。

 なんなん……?


「あ、あのあの! だ、だふねも……おねえーちゃんとちゅーしたいのです!」

「えー! そんなぁ~……照れちゃうわよ~」


 さすがにね、かわいい愛するダフネちゃんとちゅーは照れちゃうなー。


「…………」


 ロボがふぐみたいにほおを膨らませて、私の肩をバシバシと叩いてくる。


「なによ?」

「ワタシのときとリアクションが違う」

「あんたとのは魔力供給。ダフネちゃんのはちゅー。OK?」


 シェルジュは再び不機嫌になってしまった。理由を聞いてもほおを膨らませて、何も答えてくれないのだった。まじでなんなの?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ