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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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210.帰還



 落下する天空城。 

 受け止めるのは錬金の戦士達3人。


「来ます」


 目前まで迫る巨大な城。

 普通ならこんな巨大な、隕石のようなものを受け止めることなんて不可能だろう。


 だが……。

 この場に居るのは、世界最古の錬金術師、その弟子がつくりし最強の人工生命体ホムンクルス、そして……。


 最強の師弟が造りし、高性能・魔導人形ゴーレム

 

 シェルジュは、笑った。


「来い……!」


 シェルジュ達が城を受け止める。

 凄まじい衝撃が彼女らの体に走る。気を抜くと木っ端みじんになってしまいそうだ。


 ミシミシと体が悲鳴を上げる。

 だが、すぐに修復してくれた。


 フラメルが他二人の体を錬金術で強化しているのだ。

 壊れそうになる細胞を、その都度、錬成してる。


「やる……じゃないですかっ!」

「ああ……まあ、ね!」


 天空城の勢いが止まらない。

 だが……シェルジュは諦めない。


 最愛の人と約束したのだ。

 必ず……止めてみせる!


 戦力差はあった。だが……この場にいる三人の結束が、上回った。

 セイのために。


 共通する思いが、彼女らの結束を強くした。その結果……。


「と、まったぁ……!」


 天空城が制止したのである。

 だがそれも、ほんの刹那のことだ。


 すぐにまた落下を始めるだろう。


「ママ……!」「セイちゃん!」

「マスター……!!!!!!!!」


 瞬間、城が強く輝き出す。

 城に設置した転移ポーションが発動したのだ。


 瞬きする間に、城は消えてしまった。


 残されたのはシェルジュ達。

 はぁ……とフラメルはその場にへたり込む。リーンフォースもだ。


「とりあえず……危機は去ったね……」

「ママ……」


 ……だが、セイ・ファートが現れない。

 城ごと、宇宙空間に転移したのだ。


 空を見上げる。

 激しい光が、空で瞬く。


 爆発、したのだろう。


「セイちゃん……! そんな……」

「ママ……」


 爆発に巻き込まれた、と思っているのだろう。

 事実、そうなのだ。多分彼女の肉体は、今ので木っ端みじんになっただろう。


 だが、シェルジュは空を見上げたままだ。


「なに……やってるんだい?」


 フラメルはセイが死んだのだと思って泣いでいた。

 リーンフォースもだ。


 そんな中で、シェルジュだけが、何かを待ってる。


 何かって?

 それはもちろん……。


「来た!」


 空から振ってきたのは、黄金の宝玉だ。

 シェルジュは空を駆け、その宝玉を受け止める。


 ほぉ……と安堵の息をつく。


「おかえりなさいませ、マスター」


 と、その宝玉に語りかけるのだった。

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