表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

208/215

208.別離



 馬鹿師匠とリーンフォースが外へ向かう。

 私がこの城の制御室の、コントロールパネルをいじってると……。


 ふわり、と誰かが後ろから抱きしめてきた。

「なによ、シェルジュ」


 見なくてもわかる、うちのめんどくさメイドがいるのだ。


「……マスターは自分が犠牲になればいいとおもっています」


 ……やっぱりバレているか。

 そう、私がやろうとしてるのは、転移の術式。


 この城はすでに破滅へと進んでいる。これをどうにかするすべはない。

 宇宙空間にこいつを転移させるしかない。


 だがそのためには、この城を一度完全停止させること。

 その上で、私が転移ポーションを使うこと。

「停止させなくてもいいじゃあないですか」

「転移しても運動エネルギーが消える訳じゃあない」


 私ができるのは、成層圏のギリギリに転移させることだ。

 転移した瞬間、運動エネルギーが残っていると、そのままこの星に城が落下する危険性がある。


 こいつを、リーンフォースたちでこの城を完全停止させ、そのうえで、今設置している転移ポーションを発動させる。


「小シェルジュたちに、やらせれば」

「わるいね、転移ポーションは、作ったモノしか使えないんだわ」


 ようは、私は最後までここに残っていないといけない。


「……死んじゃう」


 ……シェルジュが泣いている。

 ああ、この子は完全に人間になったのだ。ただの魔導人形ゴーレムだったこのこが、人の死を悼む……人間に。


 私は……うれしかった。自分の作ったモノでしか無かったこの子が、自分を越えてくれたことに。

 師匠もこんな気持ちだったのかな?


 まあ、何はともあれだ。

 ここで無駄話してる時間は無い。


「大丈夫、私に秘策ありよ」


 私は秘策を話す。

 それを聞いたシェルジュが……あきれていた。


「……そんなことできるのですか?」

「できる。やる。だから……あんたは自分の仕事をして」


 シェルジュが大きくため息をつく。


「ご武運を」

「おう! あんたもね!」


 シェルジュは納得したらしく、城を出ていこうとして……。

 振り返って、私に抱きついて、キスをしてきた。


 ……こいつ、唇に、キスを。


「絶対に帰ってきてくださいね」

「わ、わかってるよ……ほら、さっさといけ」


 シェルジュのアホは出て行った。ったく……魔力供給でもない、単なるキスしよって。


 私の初めてを奪いよって、ったく……。


 まあ、いいか。別に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ