199.特級
襲い来る英雄レプリカたち。
トーカちゃん達が頑張って相手してるけど……。
「だめです、セイ様! 相手の数が多すぎます!」
ゼニスちゃんが魔法で敵を吹っ飛ばしながら言う。
うーむ、確かに。
トーカちゃん達が倒しても、人工生命体たちは次から次へと生み出されている。
師匠の足下には錬成陣。
そこから、無限錬成されているようだ。
「アレを壊さないとだめね。シェルジュ」
ロボメイド・シェルジュがうなずくと、両手に銃を構える。
ずだだだだだ!
銃弾が錬成陣を吹き飛ばそうとする。
だがその前に英雄レプリカ達が集まって、銃弾を体で止める。
ったく、ほんと厄介ね!
「シェルジュ! 特級ポーションよこせ!」
シェルジュがうなずくと、スカートをめくって、その中からポーション瓶を取り出す。
特級ポーション。
上級ポーションのさらにうえのポーションだ。
魔法効果が付与されたポーションが、上級ポーション。
ならば、その上位にあたるポーションは、いったい何が付与されているのか……?
「くらえ!」
私がポーション瓶をぶん投げる。
シェルジュが狙撃して瓶を破壊。
上空から降り注ぐ特殊な液体。
それを浴びた人工生命たちが、ドロドロにとけていく。
「わはは! 見たか! 特級ポーションが一つ!【反転ポーション】!」
「はんてん……?」
ダフネちゃんが小首をかしげる。
「錬成したものを、錬成する前に戻すポーションよ!」
物質の構造を理解、分解、再構築するのが錬金術の一連の流れだ。
基本的に一方通行のそれを……逆転させる。
再構築した人工生命体の体を、元の物質へと返す!
「生まれた命を無に返すなんて……まるで……神……」
魔法を付与したポーションが上級ポーションならば、神の力を宿したポーションが、特級ポーションってわけよ!




