197.はじまるバトル
天空城にて、すべての黒幕である女、フラメル師匠から真実を聞いた。
私をこの世界の神にするため、世界を衰退させたのだという。
そして、今回の騒動を引き起こした黒幕(=師匠)を、私が倒すことで、私の名声を極限まで高めようっていうらしい。
……はぁああああああああああああ。
「さ、殺して!」
すぅうううううううううううううう。
「い!」
私は大声で。
「や!」
私の思いを。
「だ!」
師匠にぶつけた。
「お断りじゃ!」
……私の発言を聞いて、師匠が目を丸くしていた。
そこには私の答えへの不満と、そして困惑が見て取れた。
「どうして? 君は神になりたくないの?」
「ねーよぼけ!」
このぼけが勘違いしてるので、私は彼女の考えをただしてやることにした。
「まず! 私は別に……神になんてなりたくないっつーの! 私が望むのは平穏だ! 奴隷ちゃんズ、シェルジュと、なんかこう楽しく暮らせればいいんだよ!」
それができれるのであれば、別に富も名声も権力もいらないのだ。
「穏やかな日常を、今で十分おくれてる。あんたが私に何かを施さずとも!」
私は奴隷ちゃんズ、シェルジュ、そして……娘をぎゅっと抱き寄せる。
「私は、満たされてる!」
奴隷ちゃんズが照れてる。娘も。
シェルジュは……。
ロボメイドは、うれしそうに笑い、そして涙を流していた。
このあほ創造主に、ひでえこと言われて、心が傷ついていたのだ。
だから、私が言ったことがうれしかったのだろう。
「あ、あはは……そんな……」
フラメル師匠はうつむく。
「じゃ、じゃあ……私のやったことって……全部無駄?」
「ま、余計なお節介ね」
「そんな……」
ぶるぶる、と師匠が肩をふるわせる。
彼女からは怒気が発せられていた。
「ありえないよ……セイちゃん。君は神になるべきだ。神となってみんなから感謝されるべきなんだ! それが一番いいことなんだよ!」
フラメル師匠が立ち上がる。
だんっ! と足踏みする。
それだけで、城の床からにょきにょき、と人っぽい何かが生えている。
「あれは……人工生命体ですか?」
ゼニスちゃんが人っぽいあれを見て言う。
「そうね。師匠のやつ、足踏み一つで人体錬成したみたい」
「規格外ですね……」
師匠が私に怒りのまなざしを向けてきた。
「セイちゃんの間違いを、私がただす!」
つまりまあ、力尽くで言うことを聞かせようってわけだ。
「上等! あんたが力で言うこと聞かせようってんなら、こっちだって力で屈服させてやるわよ!」




