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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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197/215

197.はじまるバトル



 天空城にて、すべての黒幕である女、フラメル師匠から真実を聞いた。


 私をこの世界の神にするため、世界を衰退させたのだという。


 そして、今回の騒動を引き起こした黒幕(=師匠)を、私が倒すことで、私の名声を極限まで高めようっていうらしい。


 ……はぁああああああああああああ。


「さ、殺して!」


 すぅうううううううううううううう。


「い!」


 私は大声で。


「や!」


 私の思いを。


「だ!」


 師匠にぶつけた。


「お断りじゃ!」


 ……私の発言を聞いて、師匠が目を丸くしていた。

 そこには私の答えへの不満と、そして困惑が見て取れた。


「どうして? 君は神になりたくないの?」

「ねーよぼけ!」


 このぼけが勘違いしてるので、私は彼女の考えをただしてやることにした。


「まず! 私は別に……神になんてなりたくないっつーの! 私が望むのは平穏だ! 奴隷ちゃんズ、シェルジュと、なんかこう楽しく暮らせればいいんだよ!」


 それができれるのであれば、別に富も名声も権力もいらないのだ。


「穏やかな日常を、今で十分おくれてる。あんたが私に何かを施さずとも!」


 私は奴隷ちゃんズ、シェルジュ、そして……娘をぎゅっと抱き寄せる。


「私は、満たされてる!」


 奴隷ちゃんズが照れてる。娘も。

 シェルジュは……。


 ロボメイドは、うれしそうに笑い、そして涙を流していた。

 このあほ創造主に、ひでえこと言われて、心が傷ついていたのだ。


 だから、私が言ったことがうれしかったのだろう。


「あ、あはは……そんな……」


 フラメル師匠はうつむく。


「じゃ、じゃあ……私のやったことって……全部無駄?」

「ま、余計なお節介ね」


「そんな……」


 ぶるぶる、と師匠が肩をふるわせる。

 彼女からは怒気が発せられていた。


「ありえないよ……セイちゃん。君は神になるべきだ。神となってみんなから感謝されるべきなんだ! それが一番いいことなんだよ!」


 フラメル師匠が立ち上がる。

 だんっ! と足踏みする。


 それだけで、城の床からにょきにょき、と人っぽい何かが生えている。


「あれは……人工生命体ホムンクルスですか?」


 ゼニスちゃんが人っぽいあれを見て言う。


「そうね。師匠のやつ、足踏み一つで人体錬成したみたい」

「規格外ですね……」


 師匠が私に怒りのまなざしを向けてきた。


「セイちゃんの間違いを、私がただす!」


 つまりまあ、力尽くで言うことを聞かせようってわけだ。


「上等! あんたが力で言うこと聞かせようってんなら、こっちだって力で屈服させてやるわよ!」

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