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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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195/215

195.真相



 天空城にて。

 フラメル師匠が私に、変なことを言ってきたのだ。


「私に倒される……? 何言ってるの?」


 フラメル師匠の言動がイカレテルのはいつものことだ。

 こいつは喜んで、自らおかしなことをやって、周りを困惑させたりおちょくったりするのが大好きな、厄介かまってちゃんだ。


 だが。

 今、目の前で話してる師匠は……いつもの師匠と違った。

 真剣な表情。そしてどこか……不思議なことに、愛情を、感じさせた。


 少なくとも、さっきの倒されるうんぬんは、冗談で言ってるようには聞こえなかった。


「セイ。ポーションをどう思う?」

「あ? なに急に」


「ポーションってさ……正直、治癒魔法の劣化版だよね」


 ……急にトンデモ発言してきたなこいつ。


「だってそうだろう? 治癒の魔法は、魔力があればすぐに、他者を治癒できる。一方でポーションは違う。いちいち薬を調合しないといけない。フラメル式錬金術を使って、一瞬でポーション生成できるけどね。でも治癒のために……作る、使うという2ステップを必要とする」


 念じれば使える魔法と違って、ポーションは必ず作る、という作業が必要となる。

 ……なるほど。劣化っていうのは、そういうことか。


 魔法と比べれば、確かに……作業工程の数で劣る。


「事実、セイが元いた過去の世界では、ポーションより治癒魔法のほうが主流だった。ポーションは治癒魔法が使えなかったときのためのもの」

「……何が言いたいの?」


 魔法よりポーションのほうが劣ってる。という事実を並べて、こいつはいったいなにがいいたいんだろう。


「セイ。君は確かにポーション作りの天才だ。けど、魔法の才能は、残念だけど全然無い。セイ……わたしの可愛いセイ。君が、周りから、魔法が使えないってだけで、不当に評価されないのは我慢ならない」


 だから、とフラメル師匠が笑う。


「だから、作ったのさ。技術の衰退した未来の世界を。君の作るポーションが、世界最高のものになるように」

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