194.使命
天空城で私を出迎えたのは、私に錬金術を教えた師匠、ニコラス・フラメル。
前会ったときは女の格好をしていた。
だが今は、男の姿になっている。
白いスーツを身につけて、優雅に玉座に座っていた。
「よく着たね、愛弟子」
「……なんだか、別人みたいですね」
ゼニスちゃんたちは一度師匠に会っている。
そのときは、テンションの高い女の姿をしていた。だから、今とのギャップに、ゼニスちゃんは驚いてるんだろう。
「そうね、見た目はね。でも、中身は同じ。フラメル師匠は、外見をコロコロ変えられるの。そして、外見に引っ張られるように中身を変化するのよね」
フラメル師匠は椅子に座ったまま微笑んでいる。
……ああ、いらついてきた。
「あんたさ……なんなの? 私にさ、助けを求めてきておいてさ。で、黒幕は自分でしたって? アホじゃないの!」
あー、ほんと、心配して損した!
このクソ師匠め! こっちがどんだけ心配したのかわかってなさそうなのが、まー、腹立つ!
「悪かったね、セイ」
「ふん! まあいいわよ。さっさと帰りましょ」
するとフラメル師匠はフルフルと首を横にふるった。
「それはできない。まだ、最後の役割が残っている」
「はぁ? 役割? なによそれ」
するとフラメル師匠は自分の胸に手を当てる。
「セイに、黒幕として倒される、という使命がね」




