193.仮説と覚悟
災禍の波のなかにいる私。
空中要塞を奴隷ちゃんズたちとともに駆け抜けていきながら、私は……ある仮説を立てていた。
……黒幕が誰なのか。
こんな巨大建造物を建て、何千何万もの合成獣を作り、そしてポーション技術を衰退させた……犯人。
……正直、思い当たる人物は一人しかいないのだ。
答えはもう出ている。でも、わからないのはその動機だ。
なんであの人は、こんなバカみたいなことをしてるんだろうって。
「マスター。まもなく、黒幕の居る部屋に到着しますよ」
隣を走るシェルジュが言ってくる。
……彼女の表情には変化がない。怒りも、悲しみも、ない。それはロボだからじゃない。多分……もう本当に【あの人】に対して、なんとも思っていないのだろう。
つまりまあ、この女もおそらくは黒幕に気づいているのだ。
「覚悟は、できてますか?」
「…………………………」
覚悟。覚悟だって?
そんなの……。
脳裏をよぎるあの人との思い出。
あいつはロクデモない人だ。でも……。
孤児だった私をひろい、一人前の錬金術師に育ててくれた。
親を失った私の代わりに、不器用ながらも愛してくれた。
だから……。
「ええ、もちろんよ」
だから、私の手でこんな茶番を終わらせるんだ。
大広間に到着する。
そして、玉座にあほみたいに鎮座してる、そいつに向かって言う。
「おい、来てやったぞ黒幕……ニコラス・フラメル師匠」
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