177.私がきた
《ボルスSide》
ボルス達は王都にて、天から降り注ぐ魔物の群れに対処していた。
だが、彼らも人間であり、体力の限界がある。
「ボルスっ!」
「ぐうぅ!」
敵の反撃を受けて、ボルスの左腕が吹き飛ぶ。
倒れ伏すボルスの元に、同じくSランク冒険者のフィライトが駆け寄る。
「すまねえ……フィライト。ヘマしちまった……」
「ボルス! ああ、どうしよう……あなたを失ったら……わたくし……」
……死の淵で思い出したのは、少し前のこと。
同じように魔物の攻撃を受けて、フィライトは瀕死になった。
それを助けたのは、聖女セイ・ファートの聖なる薬だった。
あのときみたいに、助けてくれないかな……とボルスはつぶやく。
「いや! 死なないで! ボルス! ボルスううううううううううう!」
と、そのときだった。
ぱしゃっ、と何かが顔にかかったのだ。
その瞬間、体に活力が戻った。
「あれ? おれは……」
「ボルス!? あ、あなた……腕が! 腕が元通りになってますわ!」
ボルスの失った左腕が生えていた。
ボルス……そして、フィライトも、この現象に見覚えがあった。
二人の瞳に光が差し込む。
ぱしゃ……ぱしゃ……と頭上から何かが降り注ぎ続ける。
ばっ、と二人が上空を見やる。
「「な、なんじゃありゃあああああああああああああああああ!?」」
そこには、巨大な空飛ぶクジラがいた。
クジラの頭から、ぶしゃああ……と何かが吹き出ている。
それは翡翠色をした、綺麗な雨。
その雨に打たれると、ケガがたちまち治っていくではないか。
「あのクジラ……回復ポーションを出してるんですわ! 潮をふくさいに!」
「けど……一体あれはなんだ……? ポーションの雨なんて……」
いや、ボルスはそうつぶやきながらも、これをやってる人物に、心当たりがあった。
「みんなぁ! もう大丈夫よ!」
クジラの頭のうえ、ひとりの女性が仁王立ちしていた。
「私が……来た!」
「「せ、聖女さま!!!!!!!!」」
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