172.災禍の波
久しぶりに物作りをお休みして、聖王国の中を見て回ることにした。
……ここ最近ずっと引きこもって魔道具作りに邁進してたから、あんま外の様子知らないのよねぇ。
で、なんで外に出ようと思ったかというと、ドワーフのテテロロが気になることを言ったからだ。
難民がどうのこうのって。
……難民ってなんじゃい。
「あ、おねーちゃーん!」
「ダフネちゃん! 久しぶりね~」
王城を出て、中庭。
ラビ族のダフネちゃんが私に抱きついてくる。おお、今日ももふもふふわっふわよ。
「おねえちゃん、【おつとめ】はもういいのです?」
「おん……? おつとめって……?」
「はえ?」
そこへ、水精霊のスィちゃんと、火竜人トーカちゃん、エルフのゼニスちゃんもやってくる。
「主殿~! ひさしぶりでござる! おつとめはもうよいのでござる?」
「……お疲れ様でした。おつとめ」
二人もなんか、聞き慣れない単語言ってるし……。
え、なんだ?
「おつとめって?」
きょとんとする私をよそに、妹たちもまたはて、と首をかしげる。
なんだこの、齟齬は?
「ワタシが説明いたしましょう」
「ロボメイド」
ぼぼぼぼ、とホバリングしながら、ロボメイド・シェルジュが上空から下りてきたのだ。
「おつとめってなに?」
「聖王陛下は王城の地下にて、現在発生してる【災禍の波】を抑えてる。それをおつとめと」
「ふぁ……!? さ、【災禍の波】……? な、なにそれ……?」
はて?
とみんなが首をかしげる。いやいやいや、こっちがはてだよ!
「なに災禍の波って!? なにが起きてるのよ今……!」




