169.聖王、爆誕
私はドワーフ国に工房を設けた、のだけど……。
「聖王さま、おはようございます!」
「おはようござます、聖王さま!」
「聖王様ばんざーい!」
……うん、なんだこれ?
城の中には、いつの間にかドワーフたちが居着いていた。まあ、別にいい。彼らにはポーションや魔道具作りの手伝い(もとい雑用)をさせられるから。まあいい。
問題は、だ。
「なによ、聖王って……!」
私は馬鹿でかい食堂で、可愛い奴隷ちゃんズとご飯を食べている。
メイドのシェルジュがぷすす、と笑って言う。
「聖王セイファートをごぞんじないのですかぁ?」
「あ? なによそれ、聖王セイファートって……」
「えー、知りたい~? 知りたいの~? どうして知りたいっていうなら教えてあげてもいいけど、チューの一つくらいしてもらわないとなぁ」
バカメイドをほっといて、頭の良いエルフのゼニスちゃんに尋ねる。
「ゼニスちゃん、聖王セイファートってなぁに?」
するとゼニスちゃんはこんなことを言う。
「旧ドワーフ国、現、聖王国の女王陛下です」
…………………………はい?
「ぜ、ゼニスちゃん……え、ここってドワーフ国じゃあなかったの?」
「はい。セイ様の工房を作っている間にドワーフの頭領たちが集まって、この国を聖王国へと名義を変更したようです……ご存じかとおもってたのですが。シェルジュさんには報告しましたし……」
さっ、と馬鹿メイドがそっぽを向く。
「おい馬鹿。なぜ報告しなかったぁ!? ああ!?」
「王となったマスターを見てみたくて……てへ♡」
「よしわかった、そんなにスクラップになりたいんだな。粉々にしてやるよぉお!」
私は爆裂ポーションを取り出してシェルジュにぶん投げようとする。
「だめなのですー! ケンカはだめなのです!」
我らのパーティの天使こと、ダフネちゃんが私の腕にしがみつく。
くっ……! 天使!
「天使に感謝するんだな馬鹿メイド」
しかし……聖王セイファートに、聖王国だぁ……?
「なんでそんなことになってんのよ? 私、何かした?」
すると奴隷ちゃんズきょとん顔。
シェルジュが「ぷすす」と笑う。むかっ。
「リーンフォース。どうしてこうなってるのか知ってる……?」
すると私の娘、ホムンクルスのリーンフォースが応える。
「ママは魔神からこの国を救った。それに、大聖女をそばに置いてる。だからかも」
……そういや、そうだったわね。魔神討伐と、あとリーンフォースを仲間に引き入れてる。
それらを評価されたわけか……なるほどなるほど……。
「どうしてこうなった……!!!!!!!!!!!!!」




