166.聖女キングダム
ドワーフに私の工房を作らせてから、一ヶ月ほどが経過した。
その間、私はのんびりと、奴隷ちゃんズと休暇を謳歌していた。工房のことは丸投げで、ちょっと忘れかけていたある日のこと。
「聖女様!」
私を聖女と呼ぶドワーフ(ここのドワーフみんなそうだけど)、テテロロが、私の泊ってるホテルへとやってきた。
私はダフネちゃんの髪の毛を、あみあみしてるとこだった。
「工房が……完成いたしましたこと、ご報告申し上げます」
「おん……?」
工房……。
「マスター、自分で発注しておいて忘れるとかないですよね?」
「も、もちろんじゃあないの! 覚えてるわよ!」
忘れてけどもちょっとね!
ダフネちゃん三つ編みバージョンを完成させた後、私たちはテテロロとともに、完成した工房を見に行く、つもりだったのだが……。
「なんっっっっじゃこりゃああああああああああああああああああああああ!」
そこにあったのは錬金術師の工房……。
……とは、思えないほどの、超立派なお城だったのだ!!!!!!!!!!!!!
「城じゃん!」
「はい! 聖女様の暮らす御殿、ということで、張り切ってつくりました!」
……この国を救った私は、救世主的な扱いを受けている。
それにふさわしい家を、と思って、やる気出した結果こうなったらしい。
「こんな目立たなくていいんだってば……」
うちのバカ師匠も、天にそびえ立つでかい塔を工房として使っていた。
正直そんなでかくなくていいし、目立たなくていいのだ。研究さえできればいいんだから。
私は常々、馬鹿師匠のあのデカい塔(工房)を、馬鹿にしてた。
のだが……。
「これじゃあの馬鹿と同類って思われるじゃないかぁあああああああああああああ!」
「マスターはフラメルと同じで馬鹿ですよ?」
「爆破させるわよてめえ!」
私は爆裂ポーションを、馬鹿メイドに飲ませようとする。
トーカちゃんが「ケンカはよくないでござるよ~」といって私を羽交い締めにしてきた。ちくしょう、トーカちゃんがいなかったら今頃このロボスクラップにされてたぞ。トーカちゃんに感謝しやがれ!
「……てか、これ。まじで私の頼んだ工房なの? 中身はちゃんとできてるんでしょうね? テテロロ」
「そりゃもちろんです!」
うーん……まあ、中身がちゃんとしてるなら、いいか。
あんま目立つのは嫌だけど……。
「お姉ちゃんお姉ちゃんっ」
ダフネちゃんが、くいくいと私の腕を引っ張る。その目はキラキラと輝いていた。
「中を、見てみたいのですー!」
探検したいのか、わくわく顔でそう言ってきた。スィちゃんもどうやら同じらしく、そして……。
「ママ……」
リーンフォースも(表情の変化に乏しいが)、興味を持ってるようだった。
そうね……ま、今から取り壊すのも、めんどうか。中身がちゃんとしてるならいい。
「テテロロ。中見せてちょうだいな」
「はい! そりゃもちろん!」




