162.これからのことを考える枠
私ことセイ・ファートは、ドワーフ国で生意気な巨神王をぶっ飛ばした。
私が作ったホムンクルスの少女も無事回収し、一息を付いた。
「さぁって……と」
私たちがいるのはドワーフ国にある、首都カイ。
そこの開いてる宿屋の一室。
「わぁ! りんちゃん、きれーですー!」
「…………」こくんこくん。
ベッドサイドに座る我が妹たち。
ダフネちゃんの隣にいるリーンフォースが、手のひらの上に、結界を構築していた。
立方体の結界がいくつもならんで、空中で回転してる。
光の反射を受けてなるほど、キラキラしてるわね。
「癒やしだわー」
「マスター、話戻して」
「うん。みんな集合!」
いそいそと、私の可愛い妹たちが集まってくる。
お行儀良く座り、私の話耳を傾けている。
「だふねのみみ……傾ける!」
うさ耳を傾けるダフネちゃんキャワヨ。
「えー、これからですね、ちょっとこの国に拠点を作ろうかなって思っております」
「「「きょてん……?」」」
こてんと首をかしげるなよ、可愛いじゃんか。
「錬金術師の工房ね」
「それは前に、シェルジュさんがいた塔みたいな?」
「その通り。あれは師匠の工房ね」
錬金術師は一人一つくらいは、自分の作業場所……工房を持っている物だ。
私の場合は、スタンピードによって工房がぶっ壊されて更地になってしまった……。
それ以降、自分の工房を持っていない。の、だけど……。
「こないだのスリュム戦で結構ポーションを消費しちゃってね。補充したいんだけど、この辺にバカ師匠の工房がない。ならいっそ、ここに自前の工房を作って、拠点の一つにしようかなってね」
ドワーフたちにはすでに話を通している。
ぜひぜひと言われた。多分私がいれば、外敵がまた現れても安心とか思ってるのだろう。
私は戦闘員じゃあないんだけど……。
ま、いっか。Win-Winの関係ってやつね。ドワーフは安心と安全を、私は場所と素材と労働力をゲッツ。
「マスター、搾取するつもりじゃあないですか?」
「しないっつの。元社畜なめんなよ?」
奴隷のように働かされた最低で最悪な過去がある。
私は、そんな辛いことを他人には絶対しないのだ。
「というわけで、作るわよ……工房! みんな手伝って、くれるかな?」
「「「いいともー!」」」




