160.エゴの錬金術師
私は巨神王とかいうやつをぶったおして、ドワーフたちを解放した。
「わははは! みたまえこの大量の宝の山ぁ……!」
私がやってきたのは、ドワーフたちが所有する鉱山の一つ。
至る所に鉱床が生えている……!
「ひゃー! 宝ぁ……!」
錬金術師と素材不足は切っても切れない関係だ。
ポーションにはたくさんの素材がいるものね。
しかも私の作るポーションは、通常の回復のやつ以外のものも含まれる。
薬草みたいな簡単に手に入る物だけじゃなく、レアな素材も必要になるのだ。
「魔銀の山! うぉお! テンションあがるわー!」
はて、とラビ族のダフネちゃんが首をかしげる。
「魔銀ってなんなのですー? ゼニスちゃん」
「……魔法を通しやすい材質でできた、希少な鉱石のことよ」
さすが物知りエルフのゼニスちゃん。
そうなのです、魔銀は魔法を通しやすい。
魔法ポーション(爆裂とか)を作る際に、必須なのよね!
水精霊のスィちゃんがいるおかげで、ポーションに使う特殊な溶液は無限にゲットできるんだけど、鉱石はその都度採取する手間もあるし、生えてるところが限られてる。
魔銀はそもそも手に入りにくいしね。
「テテロロ! いいの、まじで。全部もらって?」
ドワーフのテテロロが笑顔でうなずく。
よっしゃ! ゲットだぜ!
「シェルジュぅ! 全部だ! ありったけ回収しなさい!」
「女性なら慎みを持つべきかと」
「うるせえ! トーカちゃんも採取手伝って?」
奴隷の一人、火竜人のトーカちゃんが笑顔でうなずく。
彼女は力持ちなので、こういう作業は得意なのだ。
「しゃ! じゃー掘り尽くすわよ! この鉱山が枯れるまで!」
「なんとエゴイストな」
「ああ、ロボ、何言ってるのよ。私はエゴイストじゃなくて、錬金術師です」
「エゴの錬金術師で草」




