159.打算100%
私は巨神王をぶったおした。
そして、ドワーフたちの街へと戻ってきたのだった。
「ありがとうございます! 聖女様……!」
「あーはいはい、いいって気にしないで、テテロロ」
私たちの前には、テテロロっていうドワーフがいる。
最初にこの国で出会ったやつね。
彼らの住む街は、トロールたちによって破壊されていた。
でも私のポーションのおかげですっかり元通り。
また彼らは呪いをかけられて奴隷のように働かされていた。
しかし呪いをかけた張本人である、スリュムをぶっ倒したことで、全ドワーフたちの呪いは解けたって訳。
「なんとお礼を申し上げたら良いか……」
きたーん。
これよ。私はこのタイミングを狙ってたのよ……!
「お礼なんていりません」
「「「おー! さすがー!」」」
私の可愛い妹たちが、目をキラキラさせる。
「お姉ちゃんはやさしいのですー!」
「主殿は素晴らしい人格者でございますなぁ!」
「……ママ、素敵♡」
ダフネちゃん、トーカちゃん、そして我が娘のリーンフォースが、キラキラした目を向けてくる。ふふ、照れるわい。
しかーし、無償の善意ってわけじゃあないのよね。
「しかし、国を救ってもらって、ただというわけでは、あなたたちも心が痛むでしょう」
「自分から言ってて草」
「あーん、なによバカメイド」
「いえ、別に。あなた様の強欲なところも愛してますよ、ワタシ」
なんのこっちゃ?
ったく、ほんとこのメイド、人間みたいな自我をもちよって。
「そこであなたたちの所有する鉱石を、分けて欲しいの」
ぽかーんとするテテロロたち。
なに? これだけやってあげたのに、鉱石を分けてもらえないっての?
「どうしたの?」
「あ、いえ! まさか……鉱石なんぞでいいのですか?」
「ええ」
「う、う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおん!」
テテロロのやつが急に泣き出した。
え、な、なに……?
「なんて……なんと高潔なる精神をもっておられるのだぁ!」
高潔ぅ?
そんなたいそうなもん持ってないんですけど……。
え、なんで?
鉱石ってちょー貴重でしょ?
労働に見合った対価だと思うんだけどなぁ。
「ありがとうございます! 聖女様! 鉱石なんぞ、いくらでもお持ちください!」
っしゃ! 言質取ったりぃ!
これでポーションの素材に当面困らなくてすむぜ、ひゃっはー!
「強欲で草」




