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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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142/215

142.破壊の力



 大聖女リーンフォースが、セイ・ファートをもとめてカイ・パゴスにきてる。

 途中、トロルたちはリーンフォースを捕まえようとした。


 しかし彼女の結界の力に阻まれ、返り討ちにされてしまう。


「ど、どうしよ……」

「巨神スリュム様からもらった力を使うときだ!」


 トロル達の親玉、巨神スリュム。

 彼から渡された、小槌を取り出す。


 トロルのひとりが小槌を持って、リーンフォースへと近づく。

 彼女は特に何もしない。


 敵の接近に反応して、自動でバリアが展開される……のだが。

 ばきん!


「?」


 トロルがバリアを、小槌でぶったたく。

 ……するとバリアにひびが入った。


「はは! すげえやこれ! おら! おら! おらぁ……!」


 叩くたび、バリアにひびが入る。

 スリュムは腐っても神の力を持つ。


 神の力は、神の力でないと防げない。

 いかにリーンフォースが、セイから力をもらっていてもだ。


 やがてバリアが打ち破られて、衝撃でリーンフォースが吹っ飛ぶ。

 彼女は倒れ伏す。


「ぎゃはっは!」「やったどー!」「これで生け捕りだ!」


 リーンフォースは、しかし反撃できない。

 彼女は攻撃手段を持っていないからだ。

 近寄ってくるトロル達に対して、バリアしか張れない。

 またも小槌で破壊されて、トロルの接近を許す。


 リーンフォースは……【なぜか】逃げなかった。

 性懲りも無くバリアを張るが、トロルによって壊される。


「おら!」


 ぼぐぅっ! とトロルの蹴りがリーンフォースの腹を直撃。

 彼女はバウンドして、地面に転がり、動かなくなった。


「その女連れてかえるど」「これでスリュム様よろこんでくれる」「かえるかえる」


 トロルはリーンフォースを担ぎ上げると、彼らのアジトへ向かって歩き出す。

 ……彼らは気づいていない。


 リーンフォースの背後に、小さな穴が空いていたことを。

 その中に、ドワーフの子供がいたことを。

 

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