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【完結】天才錬金術師は気ままに旅する〜500年後の世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーション作りで聖女さま扱いされる〜  作者: 茨木野


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131/215

131.パワハラは許さねえ!



 私たちがドワーフを街へ送り届ける途中、トロルという化け物が襲ってきた。


 トロル。

 巨人とも言う。


 身長は2~3メートルくらいかしら。

 お腹が出っぷりと出ていて、頭ははげて、耳が尖っている。


 亜人型モンスターだ。



「……セイ様、おかしいです。トロルは通常、洞窟の中でくらしてるはずです」

「なるほど……それはおかしいわね」


 なんでこんなクソ寒いなか、出歩いてるんだって話よね。 



「ち、ちびすけ……に、逃げるな!」


 トロルが雪玉を持ち上げて、それを固めて、ドワーフめがけて投げつける。


 シェルジュの銃じゃ打ち落とせないわね。

 しかたない。


 私は爆裂ポーションをぶん投げる。

 空中で雪玉が一瞬で消える。


「さすが主殿! 見事な腕前!」

「マスターが人助けなんて珍しいですね。さすが聖女さま」


 あ? ケンカ売ってるのかしら?


 私がシェルジュを見やると、つんっ、とシェルジュがそっぽを向く。


 まったくいつまで拗ねてるのよ……ったく。


「別に人助けじゃ無いわ。ただ……不快なのよ。そいつの目が」


 トロルは、私たちを見下している。

 特にドワーフに対しては、まるで虫けらでも見るかのように、さげすんだ目を向けている。


 私はあの目を知ってる。

 宮廷で働いてとき、私をいじめたパワハラクソ上司と、同じ目だ。


「じゃ、じゃまするな……ちび。お、おでがようじあるの、そっちの髭もじゃちびだ」


 どうやらドワーフに用事がある様子。


「このドワーフがなにか、あなたに悪さをしたの?」


 ぷくく、とトロルのやつが嘲笑を浮かべる。

 あ……だめ。きれそう。


「ち、ちびはおでたちの、ど、どれいだ!」

「はい、死刑」


 私は爆裂ポーションを素早く投げる。

 トロルは、反応できずに爆発の直撃を受けて倒れる。


「ったく……なーにが奴隷じゃぼけ!」


 奴隷として売買されてないやつを、奴隷扱いするんじゃあないわよ! 

 ったく……。


「おお、ありがとうございます! 聖女さま!」


 ドワーフのやつが涙を流しながら、私の前で跪く。


「どうか、我らをこのままお救いください!」


 我ら……かあ……。

 なーんか厄介ごとに、巻き込まれた感じ?

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