125.除雪カー
私、セイ・ファートは氷の国カイ・パゴスへとやってきたのだけど……。
「……大雪で進めませんね」
エルフ奴隷のゼニスちゃんが目の前の光景、そして問題点を端的に述べてくれる。
さっきからすさまじい勢いで雪が降っているのだ。
降り積もった雪のせいで、全然前に進めない。雪が私たちの膝上まであるってどういうことなの?
「マスターがポーションでこの降雪をどうにかすればいいんじゃあないですかー。ロボなんて使わずに」
まだいじけてる、ロボメイドのシェルジュ。いい加減いらっとくるな。
「まあ雪を止めるポーションはあるけど」
「あるんかーい」とツッコミを入れるシェルジュ。
「作るにしても、ちょっと落ち着いた環境でやりたいわ。温度管理がシビアだし」
ということで、雪を止めるポーションは後回し。
「とりあえず前に進むために……みんな、手伝ってー」
奴隷ちゃんたちにポーション瓶を渡す。
「む? 主殿、これはなんでござるか?」
「これは除雪ポーション。ちーちゃんの足と、馬車の車輪にぬってってちょーだい」
私の命令に素直に従う奴隷ちゃんズ。
「ぶえっぷしゅ! さむいっす……セイ様ぁ……」
「おいこら2号。なにサボってんだ?」
ぱしり2号こと、邪神竜ヴィーヴル。この女もまた旅の仲間であるはずなのに、なにもしてない。
「いや、自分寒がりっていうか、は虫類なんでサムイのだめなんすよ……」
「ギルティ」
「アンギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ヴィーヴルの服の中に、雪を入れてやった。
「なにすんすかぁ!?」
「サボるなパシリ」
「ふぇーん。奴隷ちゃんズには優しいのに、パシリには冷たいっすぅ~……」
当然だ。奴隷ちゃんズは私の大事な仲間。
パシリとロボは私の配下だからな。
ややあって、ポーション塗るのが終わる。
「あんがとみんな。さ、のったのった」
私たちは馬車に乗る。当然、車輪も地竜のちーちゃんの足も、ずっぽりと雪にうまっている。
「ちーちゃん、ごー!」
「ぐわー!」
ちーちゃんが走り出す。すると……目の前の大量の雪が、一斉に溶けて消える。
「すごのです! 雪が溶けてくのですー!」
「これぞ除雪ポーション。ぬることで熱を発生させ、雪を溶かす結界を発生させるのよ」
「おお! すごいでござる! さっすが主どの!」
わはは! 奴隷ちゃんズから褒められて気分がいい。
「さ、れっつらごー!」




