111.怪物の女王
セイ・ファートが向かう先にいる、炎の魔神ドゥルジ。
炎の王たる自分は、竜どもが作った城の玉座に悠然と座っている。
『ふん……ここにこれる物ならきてみろ。もっとも、ソンなことは不可能だがな』
ドゥルジが生きてるだけで、摂氏数千度の熱を発生させる。
彼は生きてるだけで人類の脅威となりえる……歩く災害だ。
任意の物を燃やさないふうにコントロールできる。
そうでなければ、この城は一瞬でドロドロに溶けて、消えて無くなっているだろう。
炎と熱を手足のように操る……いや、操るという概念すらない。
人は歩くときに、体をコントロールしていると思わない。表現しない。
あんまりにも当たり前にできることに対しては、言葉すら不要。
ドゥルジの辞書には敵や攻撃、という自然界で生きる動物が、誰もが持っている概念を持ち合わせていなかった。
……その日までは。
「なーんかむっしあついわねー」
『なっ……!?』
驚くしかなかった。誰も近寄れないほどの、凄まじい熱を周囲に発しているはずなのに。
城の中に入ってきた女は……平然と、あまりになんともないような表情で立っていたのだから。
「あんたが空の王さま?」
にぃ……とそいつが笑う。ぞくっ、と背筋に悪寒が走った。
目の前に居るのが、ただの人間ではない……。
人間の皮を被った、化け物に……ドゥルジには見えた。
そしてその予感は……見事に的中することになる。
怪物の女王の手によって、いやというほどに、思い知らされる。
本物の、暴力を。
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