106.恐喝★横ピース
私たちは竜王都上空にある、天空の城へと向かう。
そこにあるという、巨大な飛行石をゲットするためだ!
「マスター、違うでしょ。魔神を討伐するためでしょ」
「それは物のついでよ」
さて王都の端っこへとやってきた私たち。
こっから天空の城までは、飛んでいかないといけない。
「ぱしり1号……は頑張ってくれたから、おい2号。出番だ」
「うぇえ……自分っすかぁ~……」
ぱしり2号ことヴィーヴルが実にいやそうな顔をする。
「なんですかあなた。舎弟のくせに、親分の言うことが聞けないのですか。ああん?」
ロボメイドのシェルジュがヴィーヴルをにらみつける。
いつも無表情なので迫力はまるで感じない。
2号も同じ風に思ってるのか、そっぽ向いて言う。
「いやっす。自分の命が一番っすからね!」
「ほーん」
「やりまぁしゅ!」
半泣きのヴィーヴル。わたしの手には、爆裂ポーションが握られている。
前にこいつは、このポーションのせいでひどい目にあったのだ。
「別に良いのよ。言うことを素直に聞いてくれる1号に運んでもらっても」
ポーション瓶を、お手玉のようにぽんぽんする。
ヴィーヴルが首をブルブルと震わせる。
「いえいえ! 喜んではこばせてもらっすぅ!」
「よーし、良い子良い子」
そんな様子を、竜王子カイルーンが感心したようにうなずきながら言う。
『あの竜の神をも手玉に取るとは……さすが聖女様!』
だから、聖女じゃないってのに……はーあ、ここで勘違いされちゃうのかよぉ。
迷惑ぅ。




