104.竜王都ナザカ
雲の上にある国、竜王国スカイ・フォシワへと到着した私たち。
観光するため、一番大きな街、竜王都ナザカへと向かうことにした。
竜王子カイルーンに道案内させ、私たちはナザカへたどり着いたのだけど……。
「誰もいないのです~」
奴隷のうさ耳担当ダフネちゃんと、水担当スィちゃん、二大癒やし担当が首をかしげる。
竜王都ナザカは大きな飛行石の上にある街だ。
白い雲の海から上陸したのだけど、そこには廃墟の街があるばかり。
とてもじゃないが、人がここで暮らしてるとは思えない。まあ人じゃなく竜だけども。
「廃墟の街のわりには、建物が壊れて無くない?」
「……セイ様のおっしゃるとおりですね。単に街から竜がいなくなっただけ……の印象です」
エルフ耳担当ゼニスちゃんの推理に私も同意する。
建物が全然劣化してないのよね。
『それには深い事情がございます』
カイルーンのやつが、聞いてもいないのに事情を話そうとする。
「しゃらっぷ! 私は観光に来たの!」
「で、でもぉ……おねえちゃん」
くいくい、とダフネちゃんが私の手を引っ張ってくる。
うるうる眼で見上げてくる……うぐ……これはまずい……。
「ドラゴンさん、困ってそう。カイルーンさんの声から、悲しい音がするのです~」
スィちゃんもうるうる眼をむけてくる。あーだめ。これだめなのよ……。
「……はぁ。仕方ない、話してみ?」
『ありがとうございます! やはりあなた様はお優しいかただ!』
私が優しいんじゃあない。
単にダフネちゃんっていう、大好きな奴隷ちゃんが悲しそうな顔してるのが、嫌なのだ。
「ダフネちゃんに感謝するんだなおまえ」
『ははあぁ! ありがとうございますダフネさまぁ!』
頭を下げるカイルーン。ダフネちゃんはびっくりして、私の後ろに隠れた。かわよ。
「で? 事情って」
するとカイルーンが深刻そうな顔つきでこういった。
『現在、我が国は魔神による被害を受けているのです』




