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【小説版発売中】追放されたやさぐれシェフと腹ペコ娘のしあわせご飯【コミックもどうぞ】  作者: 呑竜
「第2部第4章:西棟の幽霊と、もうひとりの料理番」

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「トウモロコシ尽くし」

 さて、子供たちの期待感をさんざん膨らませておいたところで料理の時間だ。

 収穫したばかりのトウモロコシが大量にあるので、せっかくだからトウモロコシ尽くしと洒落こもう。

 トウモロコシの売りといえば、そのシャキシャキの食感と独特の甘さ。

 となると……。


「ようーっし、そんじゃあみんな。まずはトウモロコシの皮を剥いでヒゲと一緒にざるに入れろー。ヒゲとはいっても使い道はあるから間違っても捨てるんじゃねえぞー。包丁を使える組は慎重に実をとるように。間違っても自分の手を切るんじゃねえぞー」


 俺がパンパンと手を叩きながら指示を出すと、子供たちは一斉に作業にとりかかった。


 オスカーが年長組を指揮して包丁を振るい、セラが年少組を指揮して皮とヒゲをとり、ティアとマックスが適宜オスカーやセラの補助をする。

 最近落ち着いてきたチームとしての形が上手く機能し、トウモロコシの実がボウルに、皮やひげがざるに、瞬く間にてんこ盛りになっていく。


「ようーっし、剥ぎ取りが終わったら料理に移るぞー」


 下準備が終わったら実作業だ。

 こっちでも火や包丁を使うのは基本年長組で、年少組にはそれ以外の作業を担ってもらう。


 背伸びしたい年頃のセラはオスカーたちの様子を羨ましそうに眺めているが、一方で第一助手としての役割もわかっているため、作業中は文句を言わない(あとでまとめて言ってくる)。

 

 ともあれ、作業は順調に進んだ。


 まずは定番『コーンポタージュポタージュ・マイス・ドゥー』。

 皮を剥いたトウモロコシを生のまますり下ろし、丁寧に濾し器(シノワ)す。

 次に弱火にかけてバターとコンソメを投入、ふつふつとしてきたら牛乳を入れ、塩で味を調え、パセリを加えて一品完成。


「わあ、綺麗ですねえ。スープが澄んでますうー」


 キラキラと輝きを放つようなスープの表面を眺め、食いしん坊のティアはうっとりとした表情。


 主食となるのは『トウモロコシのパスタパト・オ・マイス・ドゥー』。

 フライパンにオリーブオイル、にんにくとトウガラシを入れ弱火でじっくり香りを引き出す。

 トウモロコシの実をフライパンで焼いて焦げ目をつけ、茹でたパスタと一緒に上記のフライパンに投入。

 バターと塩で味を調え、バジルとパルメザンチーズを散らして二品目完成。


「ふむ、これはいい香りだな」

 

 万事につけクールなオスカーも鼻をひくつかせ、興味をそそられているご様子。


 肉が無いとセラや男どもが寂しがりそうなので肉料理、『豚ロース肉の(ポールリブ・ルレ)カダイフ巻き(・ドゥ・カダイフ)アンチョビソース(・オ・ソース・)を添えて(アンチョビ)』。

 豚のロース肉を叩き、フォークで穴を開け、形を整えたところに塩と黒コショウ。

 そいつをトウモロコシのカダイフ(小麦粉と水を混ぜたものを素麺よりも細い糸状に伸ばして焼いた麺。今回はあらかじめ用意しておいたトウモロコシ粉を加えている)で巻き、フライパンで焼き目をつけた後にオーブンに投入。

 塩味の濃いアンチョビソースとグリーンサラダを添えて三品目完成。

 

「おおー、肉だ肉だ! やっぱ飯といったら肉がねえとな!」

「肉! 肉肉肉肉! 肉だあああああああ!」


 マックスとセラが同レベルで盛り上がっているのはどうかと思うが、やはり肉のパワーは強いらしく、男どもや肉好きの女子が拳を突き上げ盛り上がっている。 


 最後にお菓子が二品。

 一品目はしょっぱいやつ。『トウモロコシの(バーバ・ドゥ・マイ)ヒゲの素揚げ(ス・ドゥー・フリット)

 まずはトウモロコシのひげ(絹糸けんしと呼ばれる部分で、めしべにあたる)を素揚げにし、岩塩を振りかけたもの。

 ちょっと気の利いたフライドポテトといったところか。


「あらまあ、これはお酒のアテに良さそうですねえ」


 おっとりした様子でつぶやくのは、ワイン好きなグランドシスター。

 ってかあんた、なんでこんなとこにいるんすか。

 今はお祈りの最中では……? 


 などという疑問はともかく、もう一品は肝心要かんじんかなめの甘いやつ。『ミルクプリン(プディング・オ・レ)のカダイフ乗せ(・オ・カダイフ)

 これまたトウモロコシのカダイフを使ったデザートだ。


 カダイフを細かく切ってナッツと共に乾煎りし、バターと蜂蜜を絡める。

 一方で鍋に牛乳、生クリーム、コーンスターチと砂糖と隠し塩を投入、火をかけてとろみがつくまで混ぜる。

 火を止めてボウルに開け、粗熱をとったらガラスの器に入れ、上記のカダイフを振りかけて木苺を乗せたら完成だ。


「「「「「おおおおー……」」」」」


 新雪のようなプディングの白地に神様のかぶる冠のような金のカダイフ、そして宝石のような木苺といった姿に見惚れているのだろう。子供たちは皆、アホみたいに口をあんぐり開けている。


 作った方としては嬉しいリアクションだが、いつまでも浸ってはいられない。


「さあおまえら、こんなとこで突っ立ってないで、さっさと食堂に運ぼうぜ。俺はさっきから腹が減っててなあ……」 


 俺がそう言うと、みんなは一斉に笑顔になった。

 自分たちが作った料理が今から食べられる、しかもこんな空腹のところに詰め込んだらさぞや美味しく幸せだろうと想像し、わいわいきゃあきゃあと騒ぎながら配膳を始めた。

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