「ふたりを追って」
~~~ジロー視点~~~
俺とオスカーは街所有の馬車に乗り、カルナックの街外れへと向かっていた。
もちろん適当に行き先を定めたわけじゃない。
総動員された衛兵が迅速にセラたちの乗せられた馬車を見つけてくれたおかげだ。
「ありがとな、オスカー。これっておまえのコネが効いたんだろ?」
隣で黙り込んでいたオスカーに、俺は訊ねた。
「……わかっていたか」
「そりゃわかるだろ。こんなの、たかだか子供ふたりの誘拐事件に対して割く動員数じゃない。しかも皆、まるでどこぞの要人が誘拐されたかのような慌てぶりじゃないか」
かつて想像したとおりだ。オスカーの背後には国、あるいはどこぞの枢要機関があるのだろう。
普段だったら使わないだろうそれらのコネを、今回こいつはフルで使っているというわけだ。
「別に恩に着る必要はない。今回のことはボクの明白な落ち度だし、セラとティアは大切な仲間だ。そのためなら、ボクはなんでもしようと思っている」
自らの手の平をパシリと拳で打つと、オスカーは興奮したように言った。
「そして、犯人どもに鉄槌を下すのだ」
「お、おう……」
目を血走らせるオスカーは、傍から見ると完全にヤバい人だ。
だが……まあ。
「もちろん俺も同じ気持ちだよ。いたいけな子供たちを攫うとか、人間として許されることじゃねえ。三枚に卸して魚のエサにしてやるつもりだ」
「怖いからやめてよ、そうゆーの」
ヤバい目をしていた俺らに怯えたドロテアが、マシューの肘にしがみつく。
「ああ、悪い。あいつらが今どんな気持ちでいるか考えるとつい気が立って……な」
「それはわかるけど……」
「なあ、ジロー」
窓の外を眺めていたマシューが、顎に手を当て不思議そうな顔をした。
「わからんのだが、どうしてティアの両親は、一度は捨てた我が子を取り戻そうとしたんだ? しかもこれほどまでに手の込んだ真似をして」
「たしかにな……」
ここまでに得た情報によると、ティアの両親はスカーフェイスと名乗る男に率いられた盗賊団と共に行動しているらしい。
つまり、狙いは最初からティアだったということ。ティアを攫うことで得られる、莫大な利益が存在するってことなんだが……。
「……これは、あくまで俺の想像だ。笑い飛ばしてくれて構わない」
前置きをした上で、俺は話し始めた。
神学院でティアと共に過ごしてきた中で感じた疑問。ティアの持つ異常な体質。それらが指し示している、ひとつの仮説を。
ティアは、ティアという少女は、もしかしたら……。
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