「ジローのひとりごと」
浴場を後にした俺は、翌朝の仕込みがあるからとオスカーに偽るなり、そそくさと厨房に逃げ込んだ。
入り口に閂をかけた上でテーブルに突っ伏すと、ハアと大きなため息をついた。
「はあ~……がんばった。とにかく今日はがんばった」
長い一日だった、本気でそう思う。
ドロテアの病の原因解明に、セラの秘密の暴露。
オスカーの性別バレに、ふたり体を密着させての秘密の隠蔽……。
ぎりぎりのところで俺は、オスカーの性的な部分に関しては反応せずに済んだ。
出るところは出て引っ込むところは引っ込んだメリハリのあるボディ。きめ細やかな白い肌……あと、意外にいい匂い。
「十五歳の女の子に欲情するとか最低だからな。マジでおかしな反応しなくてよかった」
風呂に入ってるわけだから顔が赤くなるのは当然だし、汗をかくのだって当たり前。
基本背中合わせで話してたから、表情の変化だって気取られない。
オスカーを庇いつつ自らの様子も悟られないあの作戦は、まさに孔明レベルといってもいいだろう。
「あとは……まあ、今後のことか。今後も一緒の部屋に住み続けるとして……」
オスカーの秘密を隠し続けるということは、部屋も同室のままということだ。
はたして俺は、オスカーが女の子であることを知ってしまった上でもポーカーフェイスを貫けるか?
「着替えは死んでも重ならないようにして……移動の際も肌が触れ合ったりしないようにして……ラッキースケベ展開とか許される歳じゃねえからな。もう速攻ブタ箱送りだから」
自らを戒める言葉をつぶやいていると……。
――……じぃぃぃーろーおぉぉぉー?
突如として、脳裏にセラの顔が浮かんだ。
両目を光らせ、地獄の底から響くような声を出たあいつが腕組みしながら怒っている。
「ああもう、変な時に出てくるんじゃないよおまえはっ」
頭の周りを手でかき回すようにしたが、激おこセラ氏は消えてくれない。
むしろ威圧感を増してのしかかってくる。
「……なんだこれ。これじゃまるで妻に怯える夫じゃねえか」
あまりのバカらしさに脱力すると、俺はテーブルに額をゴンと打ち付けた。
すでに尻に敷かれている(?)ジローでした( ゜Д゜)w
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