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第74話「嬉しい」

むくり


「おはようございます。」


空高くに昇った太陽を見つめて、ひとり朝の挨拶を口にする。


太陽の角度から判断して、今は朝の8時頃。


5日目では無い。


今日は7日目、転生から丁度一週間の清々しい朝である。






「うん、よく寝た。」


焚火の方に目をやれば、いつもは土をかけて消していた焚火の炎が、今朝はすっかりと灰になって燃え尽きている。


昨日は疲れて超熟睡。


長時間の深い睡眠を経て、今僕の細胞は生まれ変わったように活力に満たされている。






二重のバリケードを開け放ち、寝床の外へと移動する。


さて、本日の活動を開始しよう。


でも、その前に・・・。


寝床の周りを回りながら、その出来栄えを観察する。


ここは、一つ目の寝床から水無し川を隔てた対岸に作った二つ目の寝床。


昨日完成したばかりの新築住宅なのだ。






鋭いトゲの生えたアカシアの枝を背丈ほどの高さまで積んで作った外側のバリケード。


適当な木の枝を格子状に組んで作った内側のバリケード。


一つ目の寝床と同じ大きさ、同じ間取り、同じ品質・・・。


うむうむ、いい出来栄えである。


僕は、この二つ目の寝床を作るために、二日を費やしたのだ。






「5日目と6日目は忙しかったな。」


何せ、時間が足りなかった。


一つ目の寝床から果樹に到着するまでの時間が、徒歩にして約2時間。


そこから、消化休憩を含めた食事時間に約5時間。


そして、果樹から一つ目の寝床に帰るのに、約2時間。


寝床の制作にあてられる時間は、想像以上に短かったのだ。






うむうむ。


新しく作った寝床を二週、三週と回りながら、一つ目と何ら変わりない寝床をじっくりと観察する。


うむうむ。


時折足を止め、一つ目と何ら変わりない寝床に腕を組んで頷く。


日没と言うタイムリミットの中、僕は急ピッチで二つ目の寝床を作ったのだ。


この喜びは、一入ひとしおである。






「うん、十分に満足した。」


それでは、改めて本日の活動を開始して行こう。


今日の目標は、“干し網”づくり。


この世界のヨウシュヤマゴボウの果実をドライフルーツにすることで、カロリーの摂取効率と果肉の保存性を高めるのだ。

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