第五十六話「水源探索」
水の低きに就くが如し:《「孟子」告子上から》水が低いほうに流れるように、自然のなりゆきは、止めようとしても止められないことのたとえ。また、ごく自然にそうなることのたとえ。(デジタル大辞泉より)
「水の低きに就くが如し・・・か。」
水は、高い場所から低い場所へと流れ落ちる。
山脈の地形から川の所在を特定することができれば、荒野での水源探索は飛躍的に向上することだろう。
遠くに見える山脈を見つめながら、川の所在を思考する。
水の流れは、峰から麓。
当然のことながら、水に自由意思は存在しない。
地形に合わせた合理的な動きをした結果、水の流れが集束し川が形成されるのだ。
水の流れが集束するのは、山脈における山と山との間。
あのV字型に形成された山間に、川の流れがあるのだろう。
この荒野は、遠くに見える山間よりも土地が低い。
おそらく、この荒野における川の始まりは、あの山間の谷に沿った山脈の麓。
加えて、この荒野は、森よりも高地に位置しているのだ。
「水は、高い場所から低い場所へと流れ落ちる。」
この荒野には、山間から森に向かって流れる川があると見て間違いない。
川が流れていると考えられる山間の麓までの距離は、行程にして数日。
とても麓まで移動することはできないが、さしあたって、川の所在にあたりをつけることはできたのだ。
あの山間の麓から森にかけてを扇状に探索すれば、いつかは川に突き当たることだろう。
これより、水源探索の開始である。
とことこ とことこ
水源となる川を探して、荒野を歩く。
さりとて、さすがは三日を過ごして水源の見つからぬ荒野である。
歩けども歩けども、荒野を流れる川は、未だ発見することができない。
とことこ とことこ
太陽の位置から判断すると、今は午後の2時くらいだろうか。
一日の中で一番暑いとされる時間帯である。
「暑い。」
とことこ とことこ
そして、とうとう発見した。
山間から森の方向へと続いているU字型の浸食痕。
既に水は干上がっているものの、間違いない。
これこそ、僕が探し求めていた川であり、水源なのだ。
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