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第五十四話「リュウゼツラン」

砂漠を歩む者は、時として多肉植物であるサボテンから水分を補給する。


この目の前に生えるリュウゼツランとて、サボテンと同じ多肉植物。


毒の有無は不明だが、それでも水分を補給することは可能だろう。






ゴクリ


夜明け前には黒サソリを食べ、今朝方には朝露を飲んでいる。


食料と水分の摂取を終えた肉体の体調コンディションは、万全である。


今ならば、毒を摂取したとしてもダメージを最小限に抑えることができるだろう。


自分の肉体を実験台とするには、絶好の日和ひよりである。






ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ


チャードルの中から石槌を取り出して、50cm程もあるリュウゼツランの葉を付け根から切り離して行く。


リュウゼツランの葉の側面には、鋭いトゲが生えているのだ。


素手で葉をもぎ取ることは、不可能である。






ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ


石槌を受けたリュウゼツランの葉から汁が飛び散り、石槌を握る指がぐっしょりと濡らされる。


付け根の厚みは、およそ10cm。


「石槌があってよかった。」


この石槌が無ければ、葉の1枚を採取することさえ難しかったのだ。


これは、もはや伐採である。






バサッ


「よし、伐採完了!」


これが無毒であれば、リュウゼツランが荒野での水源となるのだ。


あとは、一口齧って毒の有無を確認するのみである。






リュウゼツランの水分に濡れた指に目を落とす。


水分量は十分。


「あれ・・・。」


何だか、指の皮膚がまだらに赤い。


この赤くなっている部分は、リュウゼツランの汁のかかった部分である。


そして、ちょっと痒い。


なるほど。


これは、ダメなやつである。

リュウゼツランの分かりやすい説明。

『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』のアニメの最終話でポチとタマがサトゥーの指をペロペロしてるやつ。あの世界のリュウゼツランは大丈夫みたいなのですが、リュウゼツランの汁は皮膚にかかるだけでかぶれるので舐めない方がいいと思います。

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