第四十八話「三日目開始」
パチパチ パチパチ
黒サソリの胴体を焚火の中へ放り込み、肉が炭に変わっていくのを見つめる。
美味しかっただけに、残った胴体を焼却処分してしまうのが勿体ない。
「いつか食料の保存ができるようになるといいな。」
塩を手に入れることができれば、塩漬けにして長期保存をすることも可能だろう。
「さてさて、今日の予定はどうしようかな。」
ゴロンと仰向けに寝転がって、白み始めた夜空を見つめる。
時刻は既に夜明け前、一日が始まろうとしているのだ。
黒サソリを倒し終えた今ならば、安心して眠ることも可能である。
この食事を終えた満腹の状態で眠ること。
それは、とても幸せなことなのだろう。
しかし、森の方角の空が白から菫色へと変化していくのを遠く見つめながら、僕の心は大きく揺れていた。
この夜明け前という時間帯は、森に朝露が発生する時間帯なのだ。
「困ったな。」
昨日は、湿潤な森の生み出す朝露を飲むことによって、喉の渇きを潤すことができたのだ。
この早朝の僅かな時間にしか現れない命の水を見逃したとして、この乾燥地帯で水源を見つけることは、果たして可能なのだろうか。
森を越えた先には大きな川が流れているが、森には謎の肉食動物が生息しているのだ。
森を横断するくらいなら、素直に朝露を飲んだ方が危険性は低いだろう。
ゴクリ
分泌量の少なくなった僅かな唾液を飲み込む。
人間は数週間の空腹に耐えることができるが、喉の渇きは一日として我慢することができない。
水分の摂取は、およそ24時間前。
僕の喉の渇きは、既に限界が近い。
朝露を飲むこと。
それは、今森に行かなければ叶わぬことなのだ。
この乾燥地帯で水源を見つけることと、森で謎の肉食動物に補足される危険を冒してでも朝露を飲むことを天秤に掛ける。
「・・・。」
どちらを選択するとしても、そこに間違いは無いのだろう。
どちらも生きるための選択なのだ。
「よし、決めた。森へ行こう。」
僕は、とても喉が渇いているのだ。
【持ち物】
白い布
蔦の命綱
石槌
石ナイフ
大腿骨
蔦の紐
骨の槍
【スキル】
木登りLv.1
崖登りLv.0
火おこしLv.1
【生産】
蔦の命綱
蔦の紐
アカシアのバリケード
格子状のバリケード
石槌
骨の槍




