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第四十七話「黒サソリ(食レポ)」

テリーヌ:フランス料理で主に前菜に出てくる。ひき肉や魚のすり身の中に細かく切った野菜と香辛料を入れて火を通した物。平たく言うとカマボコ。でも、カマボコよりも柔らかい。

ホカホカと湯気を上げるサソリの身を指で摘まみ、口へと運ぶ。


もぐもぐ


テリーヌのように柔らかな身の食感。


柔らかながらも、噛むことでハッキリと感じられる身の弾力。


タンパクな肉質から感じられるほのかな甘み。


そして、鼻に抜けるこの香ばしい香りは、カニやエビと言った甲殻類特有の香りを彷彿とさせる。


まるで、焼きガニ。


それも、この味は、ヤドカリの仲間とされるタラバガニに近い。






もぐもぐ


これは、美味しい。


殻の内側、サソリの足の細くなった先端にまで指を突っ込み、身をほじり取っていく。


こういう時は、5歳児の小さくて細い指先が役に立つ。






もぐもぐ


昼間の暑さとは対照的に、荒野の夜はよく冷える。


この乾燥した土と空気が、荒野の寒暖差を激しくするのだ。


ああ、湯気を上げる温かな食事がありがたい。


この夜食は、本当に体が暖まる。






もぐもぐ


ひたすらに石槌で殻を叩き割り、黙々として身をほじり取る。


美味しい。


あんなに怖かった黒サソリなのに、この味を知ってしまったらイメージが変わってしまう。


これは、リピート確定だ。






「ごちそうさまでした。」


2本の爪と6本の足、そして、長い一本の尻尾を平らげて、体はホカホカ、お腹はいっぱいである。






【生物図鑑:黒サソリ】

【体長】:50cm前後(尻尾除く)※尻尾を含めた場合は1m前後

【生態】:夜行性で暑いのが苦手。日中は岩陰や土の中に潜んでいる。

【特徴】:巨大なハサミによる挟力きょうりょくが強く、一度挟まれると逃げ出すことはできない。なお、尻尾の毒針に含まれる毒性は弱い。

【足音】:ガサガサ

今話で二日目終了となります。

この調子でスローライフを送って行きますよ~。

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