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第四十二話「寝床増設」

サークル状に形成されたアカシアのバリケードの大きさは、直径にして約1.5m。


半径×半径×3.14が円の面積であることから、寝床の面積は1.77㎡程と導き出すことができる。


床面積にして1畳と言ったところだろうか。


キッチン、バス、トイレと言った床面積を圧迫するオプションの付いていないこの物件は、小さいながらも開放的な空間となっており5歳児が夜を越すには十分な広さと言えるだろう。


「そんなことより、早く寝床増設しよ。」


寝床の増設アップグレードは急務である。






資材として選別した木の枝を使って縦1m横1.5m程の枠を作り、枠の四隅を蔦で結んで固定する。


細く裂いた蔦は、ビニール紐のように結びやすい。


蔦を細く裂いておいてよかった。






アカシアのバリケードの弱点その1。


アカシアの枝を積み重ねて作ったバリケードの隙間には、黒サソリの尻尾の毒針が入り込む恐れがある。


昨日毒針に刺されなかったのは、本当に運がよかった。


「まずは、毒針対策として格子状のバリケードを作ろう。」


枠の中に木の枝を一定間隔で並べて、枝の両端を蔦で結んで枠に固定する。


並べられた木の枝の間隔は短く、その間隔は、僅かに指が通る程の隙間が空いているのみである。


これならば、黒サソリの毒針が入り込む余地は無いだろう。


続けて、先ほど並べた木の枝の上に十字に交差させるようにして木の枝を一定間隔で並べ、枝の両端を蔦で結んで枠に固定する。


十字に組まれた木の枝は、あらゆる角度からの衝撃に強くなるのだ。






同様にして、木の枝を格子状に組んだバリケードを4つ作る。


今日の寝床は、格子状のバリケードを四方に配置した正方形型の寝床にするのだ。


格子状のバリケードの枠同士を蔦で結び、アカシアのバリケードを内側から外側へと押し広げるようにして地面に立てる。


内側に格子状のバリケード、外側にアカシアのバリケードの二重構造である。


「よし、少し広くなった。」


バリケードの一辺の長さが約1.5mなので、この正方形型の寝床の面積は2.25㎡程だろう。


サークル型の寝床の面積が1.77㎡程だったので、実に1.27倍の増築である。






「でも、ハサミで枝を切断されることは防げないかな。」


なるべく高い密度で組んだ格子と言えど、本質的には荒野に生える細木の枝でしかないのだ。


黒サソリのハサミの挟力きょうりょくを前に、木の枝で作ったバリケードは抗えない。


これは、アカシアのバリケードの弱点その2でもある。






心中しんちゅう、黒サソリのハサミに対する増設策はあるのだが、それを今日中に実行することは難しい。


大量の水が必要なのだ。


日本家屋の土壁の中には、竹や木で組まれた格子状の木材が存在する。


水を用いて土を混ぜ、泥を作ることさえできれば、格子状のバリケードに泥を塗り固めて土壁にランクアップさせることができる。


平らな土壁ならばハサミで挟むことはできず、仮に土壁を掘られたとしても、土を噛んだ格子状のバリケードならば相応の時間を稼ぐことができるだろう。


しかし、この乾いた荒野で水を手に入れることができるかどうか。


まだ太陽は高いが、荒野の中で見つかるかも分からない水源を探しに行く程の時間の余裕は無い。


まだ日が落ちる前にやるべき作業が残っているのだ。






今日の所は、二重構造のバリケードで何とかしよう。


格子状のバリケードとて、高い密度で組んでいるのだ。


アカシアのバリケードと合わせて、黒サソリに十分な手数を強いることができるだろう。






それでは、寝床の増設はこんな感じで置いておいて、日が落ちる前に“骨角器こっかくき”を作ってしまおう。

【持ち物】

白い布

蔦の命綱

石槌

石ナイフ

大腿骨

木の枝

蔦の紐


【スキル】

木登りLv.1

崖登りLv.0

火おこしLv.1


【生産】

蔦の命綱

蔦の紐

アカシアのバリケード

格子状のバリケード←NEW

石槌

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