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第三十七話「屍肉食動物(スカヴェンジャー)」

猿人ピテクスから人類ホモに進化したばかりの原始人類が食べていたものは何か。


原始人類と言えば、狩猟をいとなみとして肉を食べていたというイメージが強い。


しかし、自然界において原始人類は決して運動能力の高い生物では無い。


多くの野生動物と比べて現生人類の運動能力が低いのと同様に、原始人類の運動能力も決して高いものでは無かったのだ。


原始人類にとって、狩猟は不得手ふえてである。






屍肉食動物スカヴェンジャー


狩猟を得意とする肉食動物が食べ残した屍肉しにく腐肉ふにくなどを食べる肉食の形態の一つである。


狩猟を不得手とする原始人類は、時として屍肉食を行ってきたのだ。


「さて、今日の僕は屍肉食動物スカヴェンジャーだ。」






四足獣の死骸に目をやれば、白骨化した骨に食べられるような肉はついておらず、黒ずむ程に腐った内臓は明らかに消費期限を過ぎている。


「残念だな。」


この死骸には、既に可食可能な屍肉が残されていないのだ。


「でも、まだ可食可能な部位は残っている。」


屍肉食動物スカヴェンジャーが食べるのは、何も屍肉や腐肉だけでは無い。


屍肉食動物スカヴェンジャーは、骨の髄まで食べるのだ。






強靭な顎を持つ屍肉食動物スカヴェンジャーであるハイエナは、骨髄を好んで食べると言われている。


血液をつくる組織である骨髄には、豊富な栄養価が含まれているのだ。


また、消費期限が一週間に満たない内臓や筋肉に対して、骨髄の保存可能期間は数か月に及ぶ。


まだ死骸に内臓が残っているところから判断して、死後30日前後といった所だろう。


骨髄は、この場にある唯一の消費期限内の食品である。






骨を一本持ってここから離れよう。


蠅の羽音をBGMに動物の死骸を見るロケーション。


辺りに立ちめているのは、吐き気をもよおす腐敗臭である。


ここは、あまり食べるのには向いていない。


それに、この場所は危険なのだ。


本来ならば内臓を好んで食べる肉食動物が、腐った内臓を残して骨についた筋肉を綺麗に平らげている。


これは、内臓が腐って食べられなくなった後も足しげくこの場所に通い、カロリーを補給していたことを意味している。


ここは、四足獣を襲った肉食動物の縄張テリトリーりと見て間違いない。





四足獣に手を合わせ、白骨化した大腿骨に手を掛ける。


長さにして1m。


大腿骨は、四足獣の持つ最も太くて長い骨である。


当然、骨の中に含まれる骨髄の総量も最も多い。


これならば、十分に一日に必要なカロリーを補えるだろう。






大腿骨を肩に担ぎ、四足獣の死骸に背を向ける。


とりあえず、岩山の中腹にある急勾配の上まで移動しよう。


【持ち物】

白い布

蔦の命綱

石槌

石ナイフ

大腿骨←NEW


【スキル】

木登りLv.1

崖登りLv.0

火おこしLv.1


【生産】

蔦の命綱

アカシアの防護柵

石槌

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