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第三十二話「カンガ(裸エプロン)」

「白い布は乾いているかな。」


近くの木の枝に干していた白い布へと歩を進める。


辺りを見渡せば既に草葉や苔の上に浮かんでいた朝露は消えており、昨日と同じ深緑の森が広がっている。


朝露は、早朝のわずかな時間にしか発生しない。


深夜から早朝にかけて黒サソリに襲われていなければ、朝日もまだ昇り切らないような早朝から一日の活動を開始することも無かっただろうし、朝露のある時間にこの森に辿り着くことはなかっただろう。


偶然とは言え、朝露のある時間にこの森に来れてよかった。






乾き具合を確認するために白い布を触ってみると、白い布はまだ若干の湿り気を残していてひんやりと冷たい。


乾いているとは言い難いが、この森の湿度の高さを考えるとこれ以上乾燥させるのは難しいだろう。


ま、いいや。


とりあえず着よう。


枝から布を回収し、布の端と端を持って体の前で白い布を広げる。


折角脱いだのだから、今度は違う着方をしてみようかな。


昨日の“キトン”と同じ着方をしてもいいのだが、お洒落は大事なのだ。






今日は、東アフリカに伝わる一枚布による伝統衣装“カンガ”をイメージして着てみよう。


まずは、エプロンのように体の前に布を垂らし、首の後ろで布の両端を括る。


そして、白い布を少し持ち上げて腰の高さで折り目を作り、腰の後ろに回して括る。


カンガ風衣装の完成である。


くるんと一回転して、両手を広げて自分の姿を見る。


「いいんじゃないかな。」


腰の所には、お洒落な服には欠かせないキュッとした絞りがあるし、タックと呼ばれる布の折り込み装飾もできている。


背中はパーティドレスの用に大きく開いており、胸部から背中にかけての布のラインが美しい。


欠点としては、かわいいお尻が丸見えという所だろうか。


「うん、裸エプロンだ。これ。」


前から見る分には気に入ってるので、今日はこれで過ごそう。

【持ち物】

白い布

蔦の命綱

石槌


【スキル】

木登りLv.1

崖登りLv.0

火おこしLv.1


【生産】

蔦の命綱

アカシアの防護柵

石槌

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