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第二十六話「夜の捕食者」

ガサガサという音が聞こえ、僕は眠りから目を覚ました。


すぐさま体を起こして周囲を見回してみるものの、夜の闇は深く音の発生源たる生物を確認することはできない。


夜行性の捕食者だろうか。


僕は、危機感をもって寝起きの曖昧な意識を強制的に覚醒させた。






ガサガサという音は、断続的に続いている。


動いては止まり、動いては止まる。


そのような行動を繰り返して近づいてきているのだろう。


音は確実に大きくなっている。






薪用の枝を数本取って、焚火に投げ入れる。


焚火の炎が大きくなり、僅かながらに荒野の闇が照らされる。


「まだ見えないか。」


僕は、薪用の枝の中からなるべく太くて長いものを手に取って襲撃に備えた。






ガサガサ


暗闇の中から巨大な黒いサソリが姿を現し、10mほど先で動きを止めた。


「サソリってこんなに大きかったっけ・・・。」


地面から盛り上がる胴の厚みは、子犬ほどだろうか。






ガサガサ


瞬間、動きを止めていたサソリが、一直線にバリケードの前まで移動をし、そして止まった。


こわ。


バリケードを作っておいて良かった。


バリケードが無ければ、そのまま襲い掛かって来られていただろう。






積み上げられた木の枝の隙間から、近づいてきたサソリをじっくりと観察する。


横幅は僕の方が少しだけ大きいかな。


しかし、サソリのハサミの大きさは、僕の頭よりも大きい。


加えて、サソリの頭部から尻尾の先にかけての長さは、僕の身長よりも確実に長い。


サソリの尻尾を含めない頭部から尻尾の付け根にかけての長さなら、僕の方が大きいだろうか。


うん。


やっぱり、僕の知っているサソリよりも遥かに大きい。


「この世界の固有種・・・か。」


ひとまずは、このサソリを黒サソリと名付けよう。






じっくりと黒サソリを観察していると、黒サソリと目が合った。


バリケード越しだからだろうか。


明らかに危険な生物を目の前にしていると言うのに、あまり怖くない。


ふふん。


少し、話しかけてみよう。


「今日の晩御飯はわたくしでございましょうか。サソリ様。」


恭しく胸に手を当てて、笑顔で黒サソリに問いかける。


無論返答など期待していない。


しかし、黒サソリは、威嚇をするように両手のハサミを持ち上げて僕の質問に返答した。


なるほど。


僕を捕食対象として見ているのだろう。






だが、いかに巨大な黒サソリが僕を捕食対象として見ていたとしても、それは僕にとって問題では無い。


僕には、アカシアの枝で作ったトゲトゲのバリケードがあるのだ。


アカシアのトゲの長さは、およそ5cm。


サソリがバリケードを無理やり抜けようとすれば、アカシアの鋭いトゲがサソリの体を容赦なく突き刺すのだ。


いくら巨大なサソリと言えど、このバリケードを不可能である。






パキッ


黒サソリが巨大なハサミで枝を挟み、バリケードを破壊し始めたのだ。


なるほど。


頭いいな。

【持ち物】

白い布

蔦の命綱

木の枝×150

アカシアの枝×100


【スキル】

木登りLv.1

崖登りLv.0

火おこしLv.1


【生産】

蔦の命綱

アカシアの防護柵

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