第708話「転・バルバトス・ダイスロール」
「何かお姉ちゃん元気良くなってきたね!」
咲は、光を纏う衣を付けているせいもあってか、姫の肌艶が良くなっていた。
「ん? そうか?」
「うん! 一周回ってやっと本来の〈在るべき姿〉に戻ったって感じするよ! マジで!」
「へっへっへ! 褒めても何も出ないぞ~?」
というわけで姉妹2人は事件がある方向へ走り出す。
「じゃあ行こう!」
「うぬ!」
現実世界、西暦2037年11月14日15時10分。
多想世界、亜空間歴5分55秒、暦時空艦ヘリオ・ソル内部、外庭。
「ぐ、なんだコイツ、強い……!」
「ホーン、私達の手に終えませーん!」
体制が崩れかけているアセンブラとトレント・フレンドリー2人を起き上がらせる天上院咲と天上院姫。
「弱い、弱すぎる……、? ほう、断罪すべき不信徒が……また2人増えたか」
人間大の巨体と高身長、長髪でウエーブのかかった紫色の髪、禍々しい斧を持ち筋肉質な肉体、全身は黒色の服装で固められた、まさに敵としての強者という出で立ちだった。
「あんた誰!?」
「我が名はバルバトス・ダイスロール! 貴様ら人間を、文化を絶滅させる為だけに存在する誇り高き元滅種であーる!」
傷つけられた仲間に対して怒る咲、誇り高きバルバトスは名乗りを告げた、どうやら知性のある元滅種、まともに話が通じる相手では無さそうである。
話を聞かないのではなく、話しても話が通じ無さそうな相手という意味である。
「我らが高貴な種族が繁栄するためには、貴様らの文化という血肉が必要だ! ありがたく我らの奴隷となり! 我の食料となれい!」
つまり、話をしても無駄だ。
「お姉ちゃん、コイツがお姉ちゃんが設置した中ボス?」
「まあ設置はしたが、その中でどう成長したかは知らん!」
姫は咲に、知らないものは知らないと包み隠さず話す。
「咲さん姫さん! 僕が戦いますから今の内に逃げて! うおお! スキル発動!〈絶対氷河期〉!」
アセンブラは果敢に攻めこもうとするが、相手のほうが一歩早かった。いや、先制攻撃されたか、行動キャンセルされた。
「スキルなんぞ使ってんじゃねぇ!」
瞬間、足の下、地面に小さなブラックホールが発生し、小悪魔が現れブラックホールの中に引きずり込み、強制拉致し、時空間転移する。
《秘奥義、〈神がサイコロを振った旅行先〉が発動しました! アセンブラは最古来歴4114年、第1の街始まりの街ライデンへ強制拉致されました!》
「アセンブラさん! このお! 短い間でしたけど! 我が親友に何をしたあ! スキル発動! 〈トレントハンマー〉!」
トレントは怒り散らかし、我を忘れて敵対者に向けてハンマーという武器をを向ける。
「スキルなんぞ使ってんじゃねぇ!」
瞬間、足の下、地面に小さなブラックホールが発生し、小悪魔が現れブラックホールの中に引きずり込み、強制拉致し、時空間転移する。
《秘奥義、〈神がサイコロを振った旅行先〉が発動しました! トレント・フレンドリーは最古来歴5126年、第2の街雲の王国ピュリアへ強制拉致されました!》
「なになになに!? 何が起こってるの!? え!? 2人共どっか消えた!?」
「何も解らなくていいさあ、下等な不信徒よ……お前も同じ運命を辿るだけさ」
スキルを使うなという事は、スキルに対して反応した、もしくは発動した秘奥義だということは観測できた。
「ならこれならどう! 〈エボリューション・極白〉!」
ログが残らないスキルなら対抗出来るかもしれないと思った咲だが……。
「スキルなんぞ使ってんじゃねぇ!」
瞬間、足の下、地面に小さなブラックホールが発生し、小悪魔が現れブラックホールの中に引きずり込み、強制拉致し、時空間転移する。
《秘奥義、〈神がサイコロを振った旅行先〉が発動しました! 天上院咲は今現在歴6451年、第6の街戦乱都市アスカへ強制拉致されました!》
「ちょ!? なにこれ聞いてないよー!?」
咲は闇の中へ消えていった……。
「独りになったなあ~? 偽りの不信徒よ……」
棒立ちになり、独りとなった天上院姫の表情は観えない。
「なあに、こうなる未来は〈視えていた〉今回は初見だし? プロレスラーみたいに受け止めだだけだ、次回はそうはいかんぞ? 貴様の技を受け止めた上で、その上で勝利してやる……!」
「戯言や虚勢は見苦しいぞ? 不信徒よ~~! 我が力や強さの前には無力! 無力! 無力に等しいわ! 我が神! 四獣王ジゲンドン様から授かりしこの力こそが絶対なのだ!」
バルバトスは自身の力を誇示し、叫び狂う。
「……強さ? ふん! 片腹痛いわ、笑える。いいかルーキー、この先ずっと覚えておけ。今回の経験談には自信があるぞ?」
姫はその強さというワードにカチンと来て、冥土の土産話に教えてやると言いたそうである。
「んん? 何だ? 不信徒よ、発言権を許そう……」
本来下等な人間種に権利など無いが、発言しても良いぞと返すバルバトス。
「――本当の強さは、設定をもりもり付けた先にはくっつかない。――こそに強さは宿らんよ」
GM天上院姫は、ただそれだけを言い残し、闇へと消え始める。
「長い鼻が増長したか、潔く消えろー!」
バルバトス・ダイスロールは、今度は任意で秘奥義を発動した。
《秘奥義、〈神がサイコロを振った旅行先〉が発動しました! 天上院姫は今現在歴4456年、第3の街豪華客船ミルヴォワールへ強制拉致されました!》
「じゃあ、またな」
「ああ~、またな」
それが天上院姫とバルバトス・ダイスロールの会話の最後だった。
姫は闇の中へトプン……と消えた……。
あとに残ったのは、暦時空艦ヘリオ・ソルだけだった……。
「面倒だ、これも飛ばすか」
《秘奥義、〈神がサイコロを振った旅行先〉が発動しました! 暦時空艦ヘリオ・ソルは最未来歴4454年、第2の街雲の王国ピュリア。へ強制拉致されました!》
場所は最未来歴5年、西の大門。
そこにあったものは、何も残らなかった――。
豆知識
名前◇バルバトス・ダイスロール
希少◇R
分類◇元滅種信徒_中ボス_敵AI
解説◇四獣王ジゲンドンを神様と信じる信徒の元滅種。
姿は6本の腕と黒い肌の人間族、知性があり力勝負を好む、小手先を嫌い、実力勝負を好む。元滅種なので勿論、文化や文明を食べなければ生きて行けず、代わりにプレイヤーに対して無敵である通常特性に加え。彼固有の秘奥義〈神がサイコロを振った旅行先〉と「スキルなんぞ使ってんじゃねえ!」と叫びながら使用する。〈プレイヤーに対して無敵〉に加え〈スキル無効化〉までしてくるので、今作中では10本の指に入るくらい、トップクラスの厄介さを持つ。
戦闘方法は、通常は念頭力を使ったサイコキネシス攻撃であり、基本的にはエスパータイプ。接近戦時には格闘タイプの3回連続攻撃、となるのだが、6本の腕がダイスロールの目と同じ様に、ランダム要素を持ち。接近戦時には、1の目が右腕上段・2の目が右腕中段・3の目が右腕下段、4の目が左腕上段・5の目が左腕中段・6の目が左腕下段と、基本的に足技はして来ない。通常の頭の良さに加え、予測不能のランダム要素を持つので、秘奥義を使っていなくても至極厄介である。
名前◇神がサイコロを振った旅行先
希少◇SR
分類◇秘奥義_強制拉致_ランダム
解説◇発動時には「スキルなんぞ使ってんじゃねえ!」と言う。この秘奥義は、相手がスキルを発動したその瞬間、無条件、無演唱、無制限で、バルバトス・ダイスロール本人の意志とは関係なく、全自動発動する。
対象はスキルを発動した人物1体である。足の下、地面に小さなブラックホールが発生し、小悪魔が現れブラックホールの中に引きずり込み、強制拉致し、時空間転移する。
転移先はランダムでダイスロールで決まる。1・2の目は最古来歴、3・4の目は今現在歴、5・6の目は最未来歴に設定され、更に。4回ダイスロールをして、4桁の年代を決める。
場所も、ダイスの目によって。第1から第6の街に飛ばされ、設定されている。
例えば、5の目・最未来歴、3・4・2・2の目で3422年、4の目・第4の街北九京都。
つまり最未来歴3422年,第4の街北九京都にブラックホールに吸い込まれ飛ばされる。
一度この秘奥義を食らったが最後、戦闘中に再復帰するのは現状かなり困難になる。
唯一の救いは最大6の6面ダイスロールなので7・8・9の目が無いのが微かな救いである。




