第690話「起・今後の方針を決める」
現実世界、西暦2037年11月9日、16時30分。
多想世界、今現在歴2037年、第1の街ライデン、ゲームセンター入口前。
咲と姫は、天才NPCイレギュラーとゲーム盤の盤上整理、いわゆる〈駒並べ〉をし終わったので、イレギュラーとはまた帰って来る事を約束し、ゲームセンターを出た。
何せ今現在歴2037年はホームなので、約束しなくても帰って来る。
もっとも、ゲームセンターへ寄るかは任意なのだが。
天上院姉妹がいつもの漫才を繰り広げはじめ、話題を広げる。
「流石にそろそろ機械の種族、どっかに配置したいよね」
「うん、流石にそうなんだが、でも何処に配置しようか……」
桜愛夜鈴の件があったから、最古来歴に種族が生まれた起点を設置したほうが都合が良いのは確かなのだが……。
その話をし始めるとゼロ年代の歴史を話さないといけないので今回はやめておく。
「あ、それなら機械種設置してから、機械種1体を鈴の湯ガーデンへ派遣すれば良いんじゃないかな?」
「あー、その方がいいかもな」
咲は長距離遠征みたいな力技ゴリ押しの時空転移をしてたので、若干疲れ気味である。その行為を長距離ハイキングと言いつつ……。
「あと長距離ハイキング続いたから、ちょっとミニゲームやりたい」
「……それって、闘技場と言う名の訓練かな? いつの時代でやるんだよ」
久しぶりにPVP戦をやるのは良い、咲も強さを実感し始めたし、それは良いんだが。
問題は〈いつやるか〉である。場所は第1の街ライデンで現在固定中だが、第2の街が正式開通したらそれこそ難易度はグッと上がる。
「ん~、最未来歴3年ぐらいがちょうどいいかな……?」
「その心は?」
「記憶デバイスは長期間保存が目的だったけど、ただの訓練ならそんなに年月いらないかなって」
「なるほど」
咲はステータスウインドウを開いて皆の動きを観察する……。
「あと氷と桜が目に付いたんだけど、それについてはどうしよう……?」
「実害無いならそのまんまで良いんじゃないか? 実害あったら対応しなきゃいけないけどさ……」
「あ~、そっか、確かに実害は無いね……」
テンジョウ2の時のように、現実世界でマジで眠りがコントロールできない!? って案件ではないので、危機的実害とは呼べない。
そして最後に対戦相手、イレギュラーの案件である。
「で、お姉ちゃんの今回の対戦相手の要求が〈天文台立てろ〉だったね」
「うん、時代は別に指定されなかったから、その最未来歴3年で良いんじゃないか? ただ、わしが天文台についての知識が浅い、全く無いから時間が欲しい」
「了解っす~~~~」
こればっかりはGMの力量不足というか、ほぼ無茶ぶりだった。知らないことを調べてやれと言われているのだから。
というわけで、第1の街ライデンの大転移門まで来た2人、そこで姫が思った。
「今現在歴2037年の第1の街ライデンがホームって、何か使いにくいな」
「いうと?」
「わしらの本当のホームって〈放課後クラブギルド本部〉だろ? 自分のベットで寝てる気がしない、じゃから放課後クラブギルド本部を魔改造しようかな、と思った……」
放課後クラブギルド本部は。距離的には東方面に第1の街ライデン、地震ゼロの洞窟、その先にある。
「放課後クラブギルド本部の空間を、エリアゼロ、それこそ〈亜空間〉にして、最古来歴、今現在歴、最未来歴でも、メンバーがいじくらない限り変わらない施設にして、そこに大転移門作ったり、イレギュラーがいるゲームセンター置いたり、ログアウトする場所にする」
くつろげる空間を作りたいのは解るが、ゲームの世界観を無視した、GM権限を使いまくった魔改造である。要するに〈都合の良い空間〉である。
「まあ、確かに。自分達のホームが、1億年前には無かったり、1億年後には無かったり、いちいち作るのメンドイもんね」
「じゃあ今後の流れの順番は、最未来歴3年で。放課後クラブギルド本部を亜空間にする、イレギュラーの居るゲームセンターの設置、機械種を設置して鈴の湯ガーデンへ派遣する、ギルド本部に訓練場を設置してミニゲーム、イレギュラーの天文台を立てる。かな」
最未来歴3年でだいぶやることが増えたが、どれも必要な事である。
「じゃあ、まだ亜空間も設置してないから、普通に大転移門使うか」
「そうだね、じゃあ最未来歴3年へレッツゴー!」
そう言って、2人は今現在歴サーバーから、最未来歴サーバーへ移動した……。




