第683話「承・長い夢の違和感」
全体掲示板、現実世界、西暦2037年。
EWサーバー。
今現在歴2025年、信条戦空。
【警察がさっきの三匹の子熊に対して職務質問っぽいのして紙に事案を書いてたぞ。遠目から見ただけだが……、何か〈手段は問わない〉って感じで書いてた】
今現在歴2037年、天上院姫。
【あー、確かに。あの厄介な敵種族モンスターは〈生物〉とリークした以上、その時代だと自衛隊とか警察署が動くか~……。同じ自然災害と区分しても地震や台風とは違うもんな、そりゃ紙に書いて残すか……】
今現在歴2037年、天上院咲。
【あんな厄介な生物を後世に残したいとは思わないもんね……、桃花先生の時とはちょっと違うけど。普通に考えてそうなるか……】
◇
仮想世界EW、今現在歴2037年、第1の街ライデン。
天上院姫は寝たいのに眠れない〈不眠〉状態に陥っていた。
「お姉ちゃん、あの、思考実験というか、例え話をしていい?」
「ん、いいぞ」
「問題、眠れません。眠れないのはお医者さんが言うには脳の異常らしいです、そして、今は仮想世界の中。ゲーム上は電脳世界なので単的に言うとエレキフィールド内です、エレキフィールド内の特徴として電気の威力が上がるのと〈眠れない〉という特徴があります。そして、現実世界でも眠れない現象が起こっています、これってもしかして、ログアウトしたら眠れるようになるの? そもそも、仮想世界っていう頭に機械をヘルメット? 式で被る設定が悪いんじゃないの? 幻想の世界とか、空想の世界では、そんな現象起こって無かったよ? ムズムズを〈信じる〉と想定したら、脳の異常を感知して、体が拒否反応起こしてることになる。つまり原因は、仮想世界かデバイスを頭に被っているという文言そのものに問題があるんじゃない?」
「ふむ、確かに仮想っていうか。この世界は本物だから本想世界のほうがしっくりするしな……そっちの方も修正案件か……? こっちが〈元の世界〉ならば」
「てわけで、一回ログアウトしない? ぶっちゃけ現実世界で寝たいんだけど、安眠できて、皆と一緒にゲームも出来る、そういう設定を手探る方が良いと思うんだよね。EWの世界観は別に悪くないけどさ。近衛遊歩もそういうことだから一回全員ログアウト告知したいんだけど良いよね?」
姫は遊歩の返事を待たずに続ける。
「なるほど……仮想世界という設定、現実世界で機械を頭に付ける設定そのものが、脳に異常だと危険信号を出してる、……そういうことだな?」
「そうそう、今まで微睡みの中で忘却して起きても忘れちゃてたからさ、そういえば体の異常が起き始めたのってVRゲームを始めてからだよね? てことはゲーム内容は良いんだけど、ゲームの入り方そのものが間違ってる可能性がある。そしてフォローしてくれる人達は〈流れは変えない〉と言っている、つまり自分たちの手で流れは変えないと変わらない!」
凄く今更な気はするが、本質の的は得ている気がすると姫は思った。
「つまり単的に言うと安眠したいんだろ?」
「そう!」
「ふむ、じゃあ全員を強制ログアウトさせるのは可能じゃからやるとして。メンテナンス内容は〈仮想世界〉という文言とそれに込められた設定そのものの見直しのメンテナンスをやります。……って感じか?」
「そう!」
「むう、……確かに〈昼寝出来ない〉不安要素は排除して遊びたいな、あと嘘つきには成れないんだっけ? ……OK。元滅種の件はまた今度にして、先にそっちのメンテナンスやるわ!」
「助かる!」
《運営からのメンテナンスのお知らせ。全プレイヤーに対して強制ログアウト動作を行います、頭のデバイスを外して休んで下さい》




