第554話「最終話・咲の夢」
時間不明、スターダスト・スペースゼロ、昼。
天上院咲は信条戦空の元へ歩いてきた。
「1つわかった、私が冒険をすると、戦空の時間が食われるって」
「……、んで?」
「だから、私は戦空の為に、旅を終えようと思うの! 戦空の冒険、ちゃんと観てみたいから!」
「それは……、お前の冒険を終わらせることよりも重要な事なのか?」
「えっと、……それは……」
「ウチ、よく判んねーけど、お情けで咲の時間を貰うってのは、あんま良い気がしないな」
「えっと、……ほら、皆が臨んでるじゃん? 私より皆は戦空の冒険が見たいって、だから桃花さんや戦空の期待値が大きくって、私は、……白色しか残らない存在だし……さ……」
そう、何処を探しても、天上院咲は居ないのだ……。
「だからさ、皆の為に終わらせなきゃって、お姉ちゃんの為に冒険は諦めようって、戦空の為に時間を食っちゃいけないんだって……」
「……、そういい気かせて、ココまで来た」
「まぁ、お前の意志が弱いってことは解った」
意志が弱い? 本当にそうだろうか? 何か流れでイケると思って、頑張って頑張って頑張って頑張って9年間……。結局私は皆に認められずに、ビジュアルが無いって理由だけで、電子書籍だから、ウエブ小説だからって、皆の都合だけで。
私は、私は……。
「でも、私は戦空くんより頑張った自信だけはあるよ……!」
「ごたくや建前や上っ面や言い訳はいらねえ、来いよ、相手になってやる」
「ふうー……解った」
自分も解ってるし、戦空も解ってる。
本当は皆の代わりに始めたくて、お姉ちゃんの為に冒険したくて、戦空の為に時間をあげたいんだ。
「私の夢は! 皆に認められたくて! お姉ちゃんに誇れる立派な冒険がしたくて! 戦空の時間を奪ってでも遊びたいんだ!!」
「……、来い!」
「ぜああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
シュン――!
一撃、勝負は一瞬でついた。
弱い咲は弱いまま、強い戦空には勝てずに終わった。
水たまりの横たわり、涙を腕で隠しながら、感情を零す。
「チクショウ、何でだよ何で私がこんな痛い目にあわなけりゃいけないんだ……何で私が辛い想いをしなきゃならないんだ、何で私が戦空くんの、桃花先生の、後片付けをしなきゃいけないんだ……全部お前らのせいだろ、私は、ただ遊びたかっただけなのに、こんな、こんなことって無いよ、あんまりだよ……私が何をしたっていうんだ……何も、何もしてない。ただ遊びたかっただけなのに、何で、何でこんな時期に生まれたんだ……!!!!」
「さあな、まあウチから言えることは……」
「……、グス……」
「あとは任せろ、お前の望み、全部叶えてやる!」
「……調子良いこと言わないでよ……そんな力も無いくせに……グス……」
「無いな、でもそういう風に努力することは出来る。そういう風に生きることは出来る。……あとは任せろ」
そう言って、水平線の彼方、2人は光に包まれて、空高く飛び上がる姿が見えて、……消えた……、それは今も昔も変わらず、光そのものだった――。
少女は異世界ゲームで名を上げる。
最終話・咲の夢、――おわり。




