第524話「心氣教室②」
それはまるで走馬灯のようだった――。
「レッスン1【死は終わりでは無い】……て言う所から始めないとね」
誰の声だろう――、私は誰? 私は咲――。
死ぬはずが無い存在、そう、死んではいけないはずの存在のはずだ、だから心の何処かで安心していたのかもしれない。……皆が守ってくれるからって。
たぶん、湘南桃花先生は続ける――。
「魂は巡廻する、命は巡る。死んだら永遠? 生者は有限? そんなものを軽く超越出来るのがこの力、……心氣よ!」
仮想世界にも現実世界にも心が絶命してるのなら、私はドコに居るのだろう――。
「簡単に言うと、仮想でも現実でもない、別の次元へ〈幽体離脱した〉……て、感じかしらね~? このまま転生後の人生ゲーム始めても良いけど……心を元に戻すわよ?」
え、ちょっと待って、まだ心の準備が――。
「3・2・1・今!」
ギュン!
刹那、天上院咲の肉体と精神は元の位置に戻り。仮想世界でダイブして寝たまんまの状態で、再起動した。
◆
仮想世界、カルテットタウン、闘技場。
パチィ――――ン……!
神速――なんとこの間、0秒である。
咲は転生した赤ちゃんのように産声をあげる。
「ぶわっはあっはーーーあああああぁ!???」
他の生徒達は、何が起こったのかザワザワしながら解らなかった。
「何が起きたんだ?」
「指パッチンしたら体がフワーっとして」
「ぼーっとしたら気づけばココに居た、突っ立ってた」
「俺、100年間異世界転生して冒険した気分になってる……」
「私は、悪役ゴブリン令嬢になってた気がする」
「俺はただのアリだったよ……今は元に戻ってるけど」
ザワザワしている生徒達を尻目に、一応解説を挟む桃花先生。
「今の〈威力〉と同等の事が出来る完成形が、心氣、能力、精霊となります! この心を操作するのが今回実装されたゲームの全貌となります。……簡単に言うとね?」
皆わけも解らずザワザワしている……。
「今の一瞬が理解出来た人~いる~? ギルド『四重奏』と『非理法権天』以外で~~~~」
1人目は天上院姫、が手をあげた。
「あんたは運営だから当たり前だろ」
2人目は真城和季。
3人目はキャビネット。
4人目は不動武。
5人目は不動文。
「流石、最果ての軍勢。良い心室持ってるわね、他には~?」
次いで、ギルド『脳筋漢ズ』のジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオンが手をあげる。
「あんたらタダのプロ集団じゃない……他には~?」
……誰も手をあげなくなってしまった。エンペラーとグリゴロスはわけが解らなかったらしい、が、泡吹いて倒れていない。目まいがして立っているのがやっとと言う感じだった。
「私の心氣に当てられて。立ってられたのは、サキちゃんも入れて12人って所か……」
四重奏と非理法権天を除けば12人、……この数字は議論の賛否が分かれそうである。
「レッスン2、【心の応用技を理解する】。さっきさらっとやったけど。心の心室に火を灯し、錬貯を錬り錬りしたあと、ソレを変換へとスムーズに移行、心氣へと変え、力を右拳へ宿した。……てーのをこれから皆さん、上級者? 一部の人? に覚えてもらいます、とりあえずこの教室では、……ね、おーいついて来れてるか~? 咲ちゃーん?」
咲は剣を両手で持ったままプルプル震えている……。〈恐怖〉ともまた違う暖かい〈高揚〉、汗が流れていた。
「何というか……先に言って……と。あと火を灯す書いてないよ……」
「おまいう」
桃花先生は呆れた。
「地獄〈パルス〉の神様〈ファルシ〉の奴隷〈ルシ〉が楽園〈コクーン〉で島流し〈パージ〉かと思ったぞ?」
ヒメがコミカルに笑いながら大ボケをかます。
「おまいう!! てか運営が作ったんだろ!?」
桃花先生はツッコミ激怒した、作ったのはヒメ達運営陣である。
そんな様子を、すみっこぐらしの柱の影から、非理法権天の秘十席群がひょこっと見ていてボソリと呟いた。
「俺が勝てない理由が何か解った気がするよ……」
その言葉は誰に拾われることも無く、風にさらわれた……。




