第343話「LDO」■
西暦2035年9月6日。
天上院咲は、神道社社長兼自分の姉とのイザコザ。即ち、姉妹神、というか女神に成ったことに頭の容量を持って行かれたので。このゲームソフトの世界観の説明のことをすっぽり忘れていたのであった。
「いっけね! ゲームのチュートリアルも忘れてお姉ちゃんとPVP戦しちゃった! てへぺろ!」
ゲームの名前は、リミテッドデータログ・オンライン。略称LDO、簡単に言うと制限の世界。ログ制限の世界だ。
ミソな所は、時間制限じゃ無い所。ものによっては時間制限で動くデータもあるが、基本的にはそこじゃない。ログ、つまりゲーム内でアクションした数値で遊ぶゲームだ。
現在、このゲームLDOは咲は初心者なので。5000ログで強制ログアウトに設定されている。遊べば遊ぶほどログインできるログ数が増える仕組みらしい。
で、あっちへチョロチョロこっちへヨチヨチ歩いていたら。3286ログ貯まっていた。
「げ、知らない間にあと1714ログかぁ~。こりゃ、あと1時間ぐらい遊んでたら強制ログアウトだわね」
とか思っていた。
一応ステータス画面とかを観ておこう。プレイヤーの空腹度とか、装備武器の耐久度とか色々細かく観ていけば奥が深そうだが。一応、このゲームの目玉はこのデカデカと表示されている【制限ログ】らしい。初心者だから5000ログで強制ログアウト、……遊ぶ方としては何ともシビアだ。その分、「あと500ログで何をやろう~オロオロ!」とか出来て実に緊張感のあるゲームが楽しめるのが売りだ。
とはいえ、5000ログじゃ何も出来ない。せいぜいシステムを知ってログアウトして、さっさとログインをし直すのが賢明だろう。
幸い、ログアウトからの現実世界でのクールタイムは無さそうだ。……今のところは、今見る限りは……。
「あと1000ログだ……何やろう……」
微妙に何をやれば良いかわからないログ数で切羽詰まっている咲。別に自主ログアウトすればいいものの、なんかここまで行くと1000ログ達成してからログアウトしたくなるのは。やはりゲーマーのサガなのだろうか?
「ひと戦闘してからログアウト? てか武器も装備も大丈夫? データコンバートは? レベル上げしたらどれぐらいログ制限は増えるんだろう」
そうだ、レベル上げだ! たぶん一匹でも倒せばログ制限の上限は増えるはず!
思い立ったが吉日、そのまま街に出て剣で豚型のモンスターにダイレクトアタックして。無事にモンスターを倒した。
《レベル2になりました! ログ制限の上限が1上がります!》
「す……! 少ない! てことは、今のログ制限5001って事!?」
あんまりにも上がらなかったので仰天したサキ。ちなみにこのゲームでのプレイヤーネームは〈サキ〉だ〈ヤエザキ〉も何だかんだでめんどくなったので名乗らなくなってしまった。
と、そんなことをしている内に。始まりの街の時計塔を見上げたら。あるものがあった。
「ん? 何アレ? 〈終末時計〉……?」
現在、9月6日の放課後。18時だった訳だが。その時、タイミングを見計らったかのように。〈終末時計〉のタイムリミットが00時00分になってカチリと止まった。
ゴーンゴーンゴーン!!
現在、他の所で何かのイベント中だったらしく。『ウオー』と遠くの所から雄叫びが聞こえた。
「何だろう?」
そう思った瞬間――。
《ログ制限をオーバーしました、強制ログアウトします!》
わけもわからずサキはログアウトしてしまった。
まずは現実世界であの〈終末時計〉という謎イベントについて調べよう。と思ったところで、現実世界へ引き戻された。
豆知識_第343話「リミテッドデータログ・オンライン (略称LDO)」
あらゆるものに数字的な『制限』を設けているのがこのゲームの特徴。タイムリミットからログ制限まで、とにかく飽きさせない、マンネリ化を防ぐためのカウントダウンを持ち味にしているのがこのゲームだ。武器の耐久値・空腹度の減少・魔法の回数制限・極めつけは1万ログを超えたら強制ログアウトさせる。など徹底した制限制にして、プレイヤーを飽きさせない工夫が随所に見られる。




