第342話「書類管理に悪戦苦闘す」
西暦2035年、神道社、社長室。
ある意味、【全てのゲームマスター天上院姫】は書類整理に悪戦苦闘していた。
理由は言わずもがな、メインシナリオの【最終回シナリオ】の書類整理でヒーヒー言っていたからである。
で、なんとかかんとか一区切りの〈終わり〉のメドがついたわけである。エンドマークを付けるに相応しいメドという意味でまだ全然進行状況としては。100%中の5%ぐらいであるが。ついでに、ネーム段階で5%である。目測だが……。ゴールは見えた、ゴール地点のフラグは立った。
「気合い入ってるね、お姉ちゃん」
「そりゃあ、中の人が2003年頃から暖めてる作品がようやく形になるメドが付いたんだ、気合いが入らない訳がないじゃろ」
メタ的に言えば、現在2021年なので18年間暖めてきたシナリオ。と言うことになるが。流石にネタとしては暖めすぎである。
咲の世界は2035年なので32年間になってしまうが……、そこはたいした問題では無い。
ようやく、《面白くて当たり前のプロローグ》と《作者が納得出来るエンディング》の道筋が出来た。という意味である。
ゲームマスター姫は最初っから関係しているので、内容を熟知しているが。新米のゲームマスター咲には何の話なのかチンプンカンプンであった。
まずこのゲームについての《終わりが見えた》という事がどれぐらいの偉業であるのかさえ解らない。教えてもらった情報が少なすぎてさっぱりさっぱりである。
「どれくらい難しいの? 難易度」
「ゲーム難易度はさほど難しくは無い、だが……シナリオが恐ろしく長くて、恐ろしく面白い」
「ん? 何でそんな恐れオノノいてるの?」
「このVRMMOの世界ならお前も知ってると思うが、《ア○シゼーション大戦》があるじゃろ?」
「うん、長くて凄くて面白かったねえ~」
「アレはわしから見たら、【寄り道】で【前座】なんじゃよ。準備のせいで本腰入れるのに手間取ったが。本当はこの【メインシナリオこそが本番】なんじゃよ」
わかる人にしか解らない解説なので、またピンと来ない咲。
わからなそうな顔なので、姫は別ベクトルで解説する。数字も入れた解説だ。
「天元突破グレ○ラガンが2クールアニメじゃったろ?」
うん、アレ凄かったよねえ~ロボットが大きくて……。
「アレを3期までやる感じだから、簡単に言うと【3倍】。たぶん【2クールアニメを3期までやる長さ】」
「……?!?!」
戦慄は覚えたが、もっと戦慄して欲しいので姫は数字で攻める。
「わかんねーならもっと言ってやる。1クール約2億円だから、まあザックリ言って【約12億円の予算がいる】」
「えーっと……それは多めに見積もって?」
「【少なく見積もってだよ】バーカ、……ま~、こんな夢物語にお金出してくれるスポンサー自体がまずいないがな。【今はまだ】」
「えっとーそのシナリオ、私は見てもいいの……?」
「むしろ、新しいゲームマスターなんだから。ここまで上り詰めてくれたわけだから。読んでもらわないと困るみたいな~?」
で、原文の原文【20万文字の原稿と、作り直したラストのネーム】を神様視点で【有るやつ】だけを見た感想としては……。
「確かにラストは面白い……第3部」
「じゃろ?」
「第1部も第2部も〈悪くは無い〉、むしろ話が進むにつれてどんどん面白くなる」
「じゃろじゃろ?」
ただ、今の現状。【同時代制】を考えると……。
「これたぶん、桃花先生と三ツ矢君の出番をもっと増やさないと。【今までの読者がついて来れない】可能性があるかもよ?」
むしろ、そこは戦空くんの出番を増やすべき。戦空&桃花。戦空&三ツ矢の絡みで出番を増やす戦法が必要という。もう一人のゲームマスターの見解だった。
「なるほどなのじゃ……」
この期に及んでまだエピソードを増やせと……。
「まあ、言いたいことはわかった」
「特に三ツ矢君の出番が無い……たぶんココは売り上げに直結する」
三ツ矢君の出番の回数イコール、売り上げ爆上がり回数とでも言いたそうな感じだった。
まあ、咲の読書後の感想としては受け止められるが……。
「で、お姉ちゃんが危惧してるのは。結局どこなん?」
「怖いのはやっぱアレかな、完結しないこと」
まあ、だからこその引き籠もってのネーム作業となるわけだが。
家族や友達との交流も断絶しないと進まないだろう……。という危惧だ。
「まあ咲っていう読者が居るから、まぁ良いが」
で、それら膨大な書類管理が前回の比較にならないほどキツくて四苦八苦してたわけだ。
「私に出来ることってある?」
「無いんだよなあ~むしろ独りにしてくれ的な? そして、あがったら見てくれ的な」
何とも都合のいい話である。
「わかってる、わかってるんじゃよ」
「要するに、それを理解してて欲しいってことでしょ? わかったよ、隣に居る」
「おーそっかすまんのぅ! 本当はもっと遊んでやりたいんじゃが! が!」
言わんとすることは解る咲。
「お~よしよしよしよし~」
しばらくそっとしておこうと、横に居てあげようと思った咲であった。




