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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第13章「少女は異世界ゲームで名を上げる。」西暦2035年7月3日

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第277話「ヤエザキ杯:咲VS桃花1」

◆それは遠い過去話のように……◆


 現実世界2034年8月2日の午後18時10分。

 天上院咲は自分の存在を燃やし尽くして。

 無限にあると思っていた命などかなぐり捨てて。

 無くなることなど気にもとめずに。


 彼女の存在は、命は、絶命していた。


 第4世代機『ミラーフォース00(ダブルオー)』が緊急処置を行った。スマートギアが唸りを上げる。

 ドクン、心臓マッサージ。

「カハ……!!!!」

 彼女の意識は蘇生され、現実に頭が追い付く。息を吹き返す。

 そして彼女の本心が、擦り切れた心が。自然と彼女にその言葉を呟かせる。

「クソッ…………!」


◆回想終わり◆


 気合いを入れなおす咲選手。一方、世界の頂上で天下を取って来た、氷の山脈のように冷え切った頂点のゲームマスターは。

 沈着冷静に、しかし絶対に揺らがない一歩を踏み込みながら。こう切り返して、前進した。

「油断はしない、行くよ。天上院咲」

 咲が剣を持っているので、桃花も剣を持つ。日本刀の名は『紗那シャナ』。

 

「はあ――――!! エボリューション・極白きょくはく!!!!」

「そのルートは、もう読んだよ」

 桃花にはもう、何もかもお見通しなのだ。

「素の私を超えられる存在なんてこの世にいな……!?」


「必殺! 〈峠超xとうげごえエックス〉!!」


「!?」

 その想像を軽々と超える咲。

「だから行き当たりばったりって言われるのよ!! わからないの!?」

「何があっても確実に一歩を突き進む桃花さん相手に! はなっから止められる何て思ってない! 押してダメなら引いてみろ作戦よ!!」

 その一撃は、桃花の身体に響いて効いた。

「く……次のルートを……」

「あいにく、私は考えに考えて行動する系女子じゃないからね! 考える前に動くのよ!!」

 剣閃と剣閃が火花を散らす。

(桃花さん、相変わらず速い!!)

(咲ちゃん、なんも考えてないから私より速い!?)

 ほとんど反射神経の領域の攻撃は、目にも止まらぬ早業で剣線が飛ぶ。

「どうせ6日かけて立派に考えたルートがあるんでしょうけど」

「く!」

「私達にとっては超遅いのよ!!」

 湘南桃花の十八番おはこ、スキル《自動回復じどうかいふく》が間に合わない速度で。連続斬撃が桃花を襲う!

「咲ちゃんにとっては遅くても……、私の攻撃は。当たれば一撃必殺よ!」

 重い重い剣劇が、咲を襲う!

「来い、スキル《嵐の渦》!」

 ブラックホールにも近い重力と風力と磁力でもって。力を貯め込んで咲を嵐の渦の中に引きずり込もうとする桃花。


《桃花がアビリティ『絶対に奇跡を起こす力』を発現しました》


「く……!」

「絶対に必ず! 当たるという奇跡を起こす! 何度転んでも、何度でも立ち上がって。成功させて見せる! どんなに才能が無くたって! 等身大の私が、あなたを倒す!」

 この勝負、一撃でも決定打が入れば終わる。

「それを、最長文学少女ログ・ホルダーヤエザキが。打ち倒します!!」

「お前に倒せるほど! 年期も、想いも、実績も! 努力も! 何もかも! 咲ちゃんには負ない!! 私が負けるってことは、ここまで助けてくれた皆の想いを裏切るってことだ! そんなことさせない!!」

「知ってる! だから勝つ!!」

虚勢きょせいおごりで負けるほど! 私は甘くは無いわ! 過去も未来も今日も生きてないあなたに! 負けるわけにはいかない!!」

「知ってる! だから勝つ!!」

「そんな自信も無い声で言ったって! 何も感じないわよ!!」

「桃花さんはとんでもなく強い! だけど私は、それを超えていく!!」

「強がりばかりを……!!」

 重力が、更に厳しさを増した。そして『絶対に奇跡を起こす力』が奇跡を起こす。


「言うなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 誰もが屈服するような強さでもって! 日本刀『紗那』が咲に攻撃を当て、地面に叩きつぶした!!

 だが。

「それを! 食らって! 立ち上がって! なお吠えずらをかく! それが私よ!!」

(ダメだ、この子。心が柔軟過ぎる。理屈では完璧に私の方が強いのに、無視するわけでもなく、タダ純粋に立ち上がってくる)

 桃花は疑問に思った。

「どうしてそこまで……!?」

「桃花さんには桃花さんの歴史があったんでしょうけど。私は私の歴史がある! 泣いて笑って時には喧嘩して! それでここまで来た! ここまで来れた! それを全否定するような存在に! 絶対に私は負けない!!」

「あ……」

 あぁ、そうか。と思った桃花。


(私も結局、過去の亡霊でしか無いんだ……)


 一瞬だけ、ほんの一瞬だけ。桃花の心に咲の心が勝った。

「でやあああああああああああああああああああああ!!!!」

 そしてワンダウンする桃花。やった、とは思ったが。彼女の真骨頂はここからだと身構える天上院咲。

「あーあ。倒れちゃった。挫けちゃった、泣いちゃった」

 だから桃花は、再度。『紗那』を持って立ちふさがる。

「私を倒したいなら100回倒さなきゃ。心は折れないわよ? 千切れないわよ!」

 だから間髪入れず、紙一重の間でこう咲は言う。迷いなく純粋に。


「わかった! そうする!!!!」

 100回ぶっ倒す宣言が咲の言葉から出て来た。

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