第245話「ヤエザキVS戦空と第3層」★
現実世界。西暦2035年4月26日、夜。
ハイファンタジー・オンライン『A1エリア』、運営管理会社神道社ネット支部。
「ふあ~良く寝た……、さて。仕事するか」
昼夜逆転もなんのその、神道社社長・ゲームマスター天上院姫は仕事に入った。
◆
プレイヤー《ヤエザキ》、プレイヤー《戦空》。マスター承認試験の参加者の2人。
他プレイヤー達の間ではこの2人の話題で持ちきりだった。何せゲームマスターが直々に第100層、仕舞には『全クリ』のための達成条件と銘打ったクエスト? なのだ、話題にならないはずがない。
しかし、プレイヤーにとってはその情報にバラツキがあると言っても良いほど。偏っていた。ヤエザキを知る人は戦空を知らず、戦空を知る人はヤエザキを知らない。その二極化が進んでいた。
なので、ここらで2人の情報を改めてまとめようと思う。
まず初めに、ざっくり2人のパラメーターを言うとこうなる。
《ヤエザキ》
攻略方針:攻略組エンジョイ勢
プレイヤーランク:Aクラス
どちらかというと:科学サイド
戦闘能力:地水火風光闇の魔法を満遍なく使いこなせるオールラウンダーな魔法剣士。戦闘自体は楽しんでしてプレイすることを第一としてるので【凄くてきとう】。だが「最終決戦のつもりで行くよ!」と言うとブーストがかかる。あとデフォルトで【空が飛べない】代わりに、【ジャンプやダッシュ】が出来るが。速いとは言っていない。
人間関係:【ゲームマスターの妹】と、職業中学2年生と神道社の【セミプロ】。いうのが最大の特徴、ギルド『放課後クラブ』は主要メンバーは6人ぐらいと、幽霊部員まで居るので【凄くてきとう】。だが、それを支持する? ギルド『放課後クラブ親衛隊』が居て、ここのメンバーが【放課後クラブより優秀】なことで有名。結果、人数が多い。
知名度:名声は上がって来たが実力が伴っていなく、まだまだ新参。
乗り物:【空母を持ってる】、人型ロボット3機収納。
特記事項:マゼンタという非売品の特殊装備と会話をしている所を目撃されている。
マスター承認試験特典:特殊スキル〈スターバーストストリーム〉が使えるようになっている。
《戦空》
攻略方針:攻略組ガチ勢
プレイヤーランク:S
どちらかというと:魔術サイド
戦闘能力:突出して肉弾戦が【凄く強く】、長距離戦闘が苦手。また風と大地の能力を使う以外は魔法は全くダメ。あとデフォルトで【空を飛べる】と言う所が強い。
人間関係:初代マスター『ブロード』、2代目マスター『スズ』、神の巫女『レイシャ』がいる(いずれも最初期の名前。ギルド『四重奏』は関係人数が4人しか居なく少ないが、その一人一人が【かなり強い古参】。強さだけは突出している。逆に言うと人数に弱い。
知名度:なぜか超高い。
乗り物:特に情報はない。
特記事項:タイマンでは一度も負けたことが無い。
マスター承認試験特典:特殊スキル〈スターバーストストリーム〉が使えるようになっている。
◆
【この世界の】全クリ攻略組プレイヤー掲示板【覇者はどっちだ】
【頂があったら! ただ登る! そこに理由などない!】
【第100層のクリア達成条件なんでしょ? 俺ら第50層なんだけど、下りろってこと?】
【どっちかの勢力につけばいいらしい。なお途中でチェンジ可能なもよう】
【『放課後クラブ親衛隊』なんて、《ヤエザキ派》と《戦空派》の両陣営にプレイヤーを配置したぞ。なお、噂の『賢者』のもよう】
【いい仕事をする上に優秀、さす賢】
【『牙』も復帰したらしい、さす牙】
【『空戦』は名前かぶっちゃったな、これからは『幼女』って呼ぼうぜ!】
【なお幼女と書いてバケモノと読むもよう】
【速報:第2層をクリアしたもよう】
【はえええええーーーー!?!?】
【まあ、『全クリ攻略組』が爆速で下層に降りて行ったからな】
【1日で15億ファンを稼いだのかあいつら……2人で30億ファンじゃねえか】
【毎分900発の弾丸が飛んでたよ、その場に居たけど。90億ファンが分で消えた】
【そいつの色が全身ピンクだったら『流星』確定じゃないですかーヤダー、あの人いるの!? どっち派!?】
【で、あの2派閥。ギルド中央広場の闘技場に戻って来た】
【んん!? 第3層攻略は!?】
【PVP戦やるって】
【で! 賭けオッズは!?】
【空戦2倍:ヤエザキ8倍 です】
【アレですか? 第2層だから、ポ〇モンで言うと最初のライバル戦だから「たいあたり」しか出来ないあたりのライバル戦?】
【AランクとSランクなんですがそれは……】
【おい、第3層行けよ(第6層待機組】
【ほんと男って戦闘バカ……】
◆
ハイファンタジー・オンライン『A1エリア』、ギルド中央広場。闘技場。
ヤエザキと戦空はその場に居た。
「第3層がもうすぐ始まるから、すぐ終わらせるよ~? クリティカル1発で終わりねー!」
「おお! いいぜ! 一回力試ししたかったんだ!」
《ヤエザキVS戦空、3・2・1・スタート》
ピー! と開始の合図が鳴った。
――――!
――!
!
…………。
《勝者! 戦空!》
エンジョイ勢、ヤエザキはしょんぼりしていた。
「あーあ、やっぱりダメだったかー!」
戦闘ガチ勢。戦空はニッコニコのご機嫌である。
「ウシ! お前も良い線行ってたぜ! これからこれから!」
「いやー、つっても勝てるヴィジョンが全く浮かばなかったじぇえ~……」
◆
【この世界の】全クリ攻略組プレイヤー掲示板【覇者はどっちだ】
【あちゃーやっぱ戦空だったかー】
【しょうがない】
【どうしようもない】
【初手、〈スターバーストストリーム〉じゃなあ~】
【手も足も出んかったな】
【俺、戦空の派閥に行こうかなー】
【つーてもヤエザキさん空母持ってますよ? 今後のこと考えたら……】
【第2層で決めるのはまだ早計かと思われ】
◆
《第3層へ着きました。蒸気機関車スタンプラリーゲーム、スタートします》
「今度は1928年代の日本の鉄道かー」
「スタンプラリーですね、皆さん地図は持ちましたか?」
「おー!」と全クリ攻略組が地図を掲げて言った。戦空とヤエザキは、第3層のゲーム攻略が始まる。
「今回って駅を回るだけか?」
「スタンプラリーだからスタンプが目的ですね、今回は思いっきり観光です。モンスターが出るかは不明ですが」
《東京駅からスタート・発進します》
ポオー! と。
汽笛と共に、プレイヤー達をのせて動き出す蒸気機関車だった。




