発掘
デスゲ妹コミカライズが韓国の電子ストアサイトのRIDI様で受賞しました。それを受け、国内の電子書店サイト(シーモア様等)各種電子ストアサイトで2巻まで無料という大PRキャンペーンが起きています。
シーモア様等では限定の特典があったのですが、そちらも対象範囲に含まれています。同時に、2巻までを前に買ってくださった方々がいらっしゃったからこその受賞でございますので、SSを執筆させていただきました。もしよろしければ。
そしてぺぷ先生が公式Xで書き下ろしダイジェスト漫画を投稿してくださったので、https://x.com/i/status/2012087585833972188
連載が終わったのが2025年の1月、実は韓国のRIDI賞受賞を受けぺぷ先生が描いてくださったRIDI様特典のミニ誠と舞がいるのですが、国内では1年ぶりの黒辺誠と舞です。よろしくお願いいたします。
私事ですが新作の長編ホラーをなろうで連載中です。それももしよろしければ。金属バット持参、お神酒とお札持参で因習村に挑むリアリストの女の話です。
デスゲーム開催が多分阻止……出来たらしい冬。
私は兄と共にホームセンターに来ていた。
目的は大雪に備えシャベルを買うためだ。デスゲーム目前の夏、兄はデスゲームに対しやる気満々だと思っていた私は、家にあるデスゲームに転用されそうなものをさりげなく破壊していた。
漫画の中では「黒辺くん」の両親がその後どうなったかの描写は無かったが、クラスメイト全員を死に導く黒幕殺人鬼の両親は確実にネットの餌食にされるし、あまりにセンセーショナルだと情報が全く出されずとも、家で使っていたものが凶器になったことが分かれば両親は苦しむ。
なので私は、家にあるホースはドッキリ転用で蛇腹に切りつけ蛇にして兄に襲い掛かるようにしたり、シャベルの木の部分は耐久性ほぼ0の細い彫刻にして鉄の部分は近くの工房に頼み込んで溶かして兄の顔のオブジェにした。「鉄製のぬい」みたいな感じだ。
結果、生活インフラ系アイテムを全壊に導いたことにより両親は大激怒である。今まで池に飛び込んだことや数多の危険行為にも怒られていたが、その時の怒りもぶり返していた。そして「自分で壊したものなんだから自分の足で買ってきなさい」とホームセンターに行くことになったのだ。
そして、兄がついてきた。
ホームセンターはDIYや園芸に興味がある人間が集う場だし、種類が多い。どれにしようか悩むけど、横に兄がいるというのが何となく嫌だった。
なんか、兄の「そういう部分」を刺激して、人間埋めるのに使うんじゃないかと疑いを持ってしまう。
「なに」
心を見抜くみたいに兄がこっちを見てきた。
「いや……シャベル選んでる間トイレとか行ってきていいけど」
「なんで?」
「え、だって、しゃ、シャベル見てて楽しい? 文房具とかなら使うじゃん。文房具売り場とかあるよ、二階とか」
「買うものない」
「見たいのないの?」
「何も」
兄は真顔で首を横に振った。ホームセンターの店員さんが聞いたら泣いてしまう。
「じゃあなんで来たの一緒に」
「……」
兄は無言で私を見返してきた。
「え」
「……舞だってことあるごとについてきたでしょ小さい頃から」
「それは……そうだけどさ……」
小さい頃は普通に兄が好きでついていっていた。絶対結婚すると思っていたし、「兄にのめり込む」というより物理的にめり込もうとして拒否されていた。その後、さよ獄や黒辺誠について思い出し、デスゲームの阻止のために兄のそばを離れなかった。
「理由を言わせたいの?」
兄は冷ややかに私を見据える。
兄は夏が過ぎてから、表面上の愛想というか見せかけの取り繕いが消えた気がする反面、情動が減った。その分、面白くも無いのに表情を足してたのかと思うと、中々複雑だ。
「なんかさ、お兄ちゃん、変わったよね」
「どこが」
「なんか、愛想減った」
「愛想?」
「私のこと物を見るみたいな目で見てるのが露骨になったって言うか」
兄の「そういうところ」を知らずに、虫を渡していた頃、兄は笑顔だった。でもその笑顔は私に向けられたものではなく、目の奥が全然私を私として認識していなかった。
今は認識はしてるのだろうけど、その頃にあった声の弾みとかが消えてる。「妹や全方位にお出しできるお兄ちゃん」じゃなく「黒辺誠」としてこっちを見ているというか。
「別に物としては見てないよ。前のが、なんか、区別できてなかった」
「はぁ……」
そして前より兄の言葉が分かりづらくなった。多分、兄は兄の感覚で話をしているんだと思う。そして前の言葉は──特に私が轢かれる前までは、完全に私や周囲に合わせて話をしていたのだろう。
「っていうかシャベル早く買いなよ。いつまで見てんの」
「ほら飽きてんじゃん」
「飽きるも何もそこまでの興味に至ってないし。っていうか、別に買わなくても良さそうだしね」
「雪の時どうするの。家出られなくなるよ」
「出なきゃいい」
兄はとんでもないことを言う。
「外出れないじゃん」
「溶けるの待てばいいでしょ。雪国じゃないんだから5日くらいで溶けるよ」
「お父さんとお母さん仕事行けなくなるじゃん」
「雪が降るときまで生きてるか分かんないでしょ」
「……は?」
絶句した。兄は「今怖い時代だから」と付け足す。この世界の人口を二種類に分けたら、兄は怖い時代にする側・怖いことを起こす側の最たる極端の位置にいる。現役の部分だ。そこにいる人間がそれを言ったら全部怖くなるんだよと反論したくなる。しないけど。
「どうかしてる」
「うん」
兄は肯定した。してないよと言われてもしてるだろとなるので、自覚症状がしっかりしてますねとしか言いようがないけど……。唖然としていれば、兄はそんな私を見て、馬鹿にするような、それでいて満足そうな調子で笑う。
「それは一体、どういう意図の笑顔でしょうか」
「何、舞って視界に映った人間の表情の原理について質問して回ってんの?」
「怖い子」と兄は目を細める。怖いのはあなたですけどね、とはやっぱり言わない。
「まぁ……変なことしないでくださればいいですよ」
「舞には言われたくないかもしれない……」
「本当に?」
疑えば、兄は「どうだろう」と返してきた。自分でも自分の気持ちが分かってないなら私にも分からないのに。
「まぁ、舞は変なことしててもいいよ。舞は舞の好きにすればいい」
「はぁ」
「他の人にはしないだろうし」
「しませんけどね」
他人には、なるべく迷惑をかけないようにしている。まぁ……今回のことは、家のものが凶器になるのと家のものが駄目になるの、両親はどちらが痛みが少ないか……っていうので大迷惑をかけたけど。
「他の人にされるのは違うから」
兄は言う。
その目は少し、支配的だった。
デスゲ妹コミカライズが韓国の電子ストアサイトのRIDI様で受賞しました。それを受け、国内の電子書店サイト(シーモア様等)各種電子ストアサイトで2巻まで無料という大PRキャンペーンが起きています。
シーモア様等では限定の特典があったのですが、そちらも対象範囲に含まれています。同時に、2巻までを前に買ってくださった方々がいらっしゃったからこその受賞でございますので、SSを執筆させていただきました。もしよろしければ。
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連載が終わったのが2025年の1月、実は韓国のRIDI賞受賞を受けぺぷ先生が描いてくださったRIDI様特典のミニ誠と舞がいるのですが、国内では1年ぶりの黒辺誠と舞です。よろしくお願いいたします。
私事ですが新作の長編ホラーをなろうで連載中です。それももしよろしければ。金属バット持参、お神酒とお札持参で因習村に挑むリアリストの女の話です。




