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ハロウィン小ネタ

いつもの衝動的なアレです。

話の脈絡とかはない。

コスプレさせたかっただけ。

真梨香さんはハロウィンの課題として攻略キャラ全員にお菓子を配って回ることになったと言うご都合設定だよ!

以上の事が許容できる方のみ読んでください。

スタート編


「真梨センパ~イ!! トリックオアトリート~!!!」

「…小林君、重い! 重いから!!」


 狼男に突然背後からタックルをかけられて、転びそうになる。頭に耳、お尻にはふさふさのしっぽ、手には肉球のついたグローブを着けた小林こばやし檎宇ごうは狼というよりは犬と言った雰囲気で、尻尾に神経が通っていたら盛大にぶんぶんと振られていただろう。

 とりあえず悪戯されてはたまらないので、懐から飴を取り出して渡す。


「何だ~用意いいじゃん。せっかくイタズラしようと思ったのに~」

「家を出るとき妹がお徳用の袋で持たせてくれたのよ」

「妹ちゃんガード固い~。ところで真梨センパイは何の恰好? 着物に俺のと似たような耳と…尻尾多くね?」

「九尾の妖狐よ。流石に9本もぶら下げてると重いのよね…。」


 フェイクファーのしっぽは短めとはいえもふもふとしていて手触りもいい。


「ね、この後他のとこも回るんでしょ? 俺ついていっていい??」

「一人で廻れって指令らしいからダメ。家で妹からも言われたけど泣く泣く置いてきたんだから」

「ちぇ~。あ、センパイは俺に聞かないの? トリックオアトリート」


 期待に満ちた表情の小林をちらっと見る。


「……どうせ、お菓子持ってないから悪戯してくださいとか言うんでしょ?」

「………ばれたか。それじゃあ俺先にパーティー会場行ってるから、早く回ってきてね~!」



代議会室


「やっと来たか、どうだ! 今回のイベントの為に最高級のパティスリーから取り寄せた菓子だ! これが欲しくばせいぜい媚びてねだるがいい!!」

「……私はお菓子を配って回る方なので別にいりません。親衛隊の方たちにでも差し上げてはいかがですか?」


 ヴァンパイアよろしく髪をオールバックに撫でつけ、タキシードとマントを付けた一之宮の口にチロルチョコを放り込む。


「…!? なんだこれは? チョコレート…のようだが風味が薄いしコクもないぞ?」

「先輩が普段食べているような高級ショコラと一緒にしないでください。チープではありますが色んな味が一つ数十円で楽しめるんですよ」

「何だと!? …なるほど、値段相当と思えば確かによくできているな。コストパフォーマンスは悪くない」

「因みに今のはミルク味で、他に苺やクッキー入り、きなこもち味なんかもあります」

「…それはネットで取り寄せることも可能か?」

「できるんじゃないですか? 色んな味が詰め合わせのお徳用もあると思いますよ」


 意外と気に入ったらしい。さっそくスマートホンで検索し始めた。その間にもう一人の方に視線を移す。


「…先輩のは……海賊ですか?」


 大航海時代風の衣装に眼帯、片手は袖の中に隠して鉤爪を持っている。肩にはオウムのぬいぐるみが止まっていた。


「そう。葛城さんは狐なのか、ある意味違和感ゼロだね。普段は耳としっぽを隠してるだけだったのかな?」

「……そうかもしれませんね。化かされないよう気を付けてください」


 一応は笑って見せつつ吉嶺よしみねの口にチュッパチャプスを突っ込んで黙らせる。


「それでは後ほどパーティー会場でお会いしましょう」


 トリックオアトリートって言ってもらってないけど…。まあ、いっか。



生徒会室


「あ、いらっしゃい。葛城さんは玉藻御前なんだね。似合ってるよ。トリックオアトリート」


 ドアを開けた瞬間キョンシーに微笑みかけられ、危うく悲鳴をあげそうになった。…梧桐君、メイクの完成度が過ぎる。肌も青白く塗っているから本物の死体みたいな出来栄えだ。

 懐から出したビスケットを渡すとこちらにもマシュマロをくれた。


「他の人たちは?」

「奥にいるよ。お~い、加賀谷君に香川さん、こっち出ておいでよ」


 梧桐君の呼びかけにおずおずと出てきた二人はアリスとチェシャ猫の姿だった。…加賀谷の方がアリスだったのだが。小柄で元々美少女めいた顔立ちの加賀谷は違和感が全くない。金髪のロングヘアーのウィッグに大きなリボンまでつけている。

 一方の香川さんは着ぐるみ姿だが、これはこれで可愛らしい。恥ずかしげに頬を染めているのも思わず抱きしめたくなる愛らしさである。


「あ、あまり見ないでください…」

「と、トリックオアトリート…も、もう早くお菓子置いて出てってください…!!」


 恥ずかしがる1年生が可愛くて悪戯できないかとこちらからトリックオアトリートと言ってみたが、普通に飴やチョコを渡された。…ちっ。


「そう言えば篠谷君は?」

「会長でしたら先にパーティー会場に向かわれました」


 いないのか…。仕方なく生徒会室を出た。どうせあいつのことだから王子様コスプレとかなんだろうな…



剣道部


「葛城、来てくれたのか」

「……まあ、そういう課題ですんで…」

「そうか、そうだな…。でも、来てくれて俺は嬉しいぞ」

「主将サン、顔が赤いデスよ? 風邪デスか? あ、マリカ、トリックオアトリート。…どうせなら桃香に悪戯されたかったデス」

「その発言は限りなくアウトよ、王子。桃饅頭あげるからこれで我慢なさい」


 シェリムの口に桃饅頭を押し込む。モガモガと何か言っていたが、この際無視である。ちなみにシェリムは某アメコミヒーローの衣装を着ている。微妙にハロウィンっぽくはないが、いちいち突っ込むのも面倒くさいのでスルーした。


「津南見先輩の衣装は…ミイラ男…ですか?」


 全身包帯でぐるぐる巻きだ。巻くの大変だっただろう。


「ああ、木通先輩が巻いてやると言って……酷い目にあった」


 酷い目の内容が気にはなるが、時間が押している。リーフパイを手に構えれば、津南見が思い出したように例の合言葉を告げた。



廊下 1


 急いで移動していたらフランケンシュタインの人造人間の仮装をした菅原先輩に遭遇した。マスクをかぶっていたので最初は誰だかわからなかった。


「急ぐのはわかるが廊下は走っちゃだめだぞ。特に今のお前はそんな動きにくそうな格好してるんだから、転ぶぞ」

「すみません。時間が押していて…クッキーをあげるので見逃してもらえませんか?」

「堂々と賄賂の提示とは、玉藻御前は噂にたがわぬ悪女だな。…転ばないように気を付けるなら、今回に限り見逃してやる」


 菅原先輩はクッキーを受け取ると、狐耳カチューシャを付けた私の頭をひと撫でして去っていった。



廊下 2


 気を付けつつ急ぐという地味に難しい急ぎ方で歩いていたら、前方からとんがり帽子にマントを着けた杏一郎が現れた。


「先生…いつものスーツの上から帽子とマント着けただけじゃないですか。ちょっと手抜きじゃありませんか?」

「この後普通に仕事の予定があってな。真梨香…いや、葛城は狐か? …愛らしいな」

「九尾の妖狐っていうくらいだから妖怪なんで愛らしくはないんじゃ…どっちかっていうと怖いキャラですよ?」

「ああ、怖いキャラを一生懸命やってるお前が愛らしい」


 この大人本気で言ってるから性質が悪い。思わず赤面してしまう。


「と、トリックオアトリート!」


 話題を変えたくて咄嗟に出たのは本来杏一郎に言ってもらわなければならない台詞だった。


「お菓子か悪戯か……生憎持ち合わせがない。教官室に戻ればあるんだが…」

「じゃ、じゃあ悪戯ですね! えっと…それじゃあ…」


 困った悪戯が何も思い浮かばない。というか、下手な事をしたら思いもよらない反応をされそうで手が出せない。悩んでる間にもじりじり距離を詰められてる気がするし。


「さあ、悪戯……してくれるんだろう?」

「え……っと…」

「あ、いたいた、杏一郎ー!」


 廊下の向こうから救世主こと栗山先生が現れてくれなければ、壁際まで追い詰められているところだった。


「……ちっ」

「え? 今舌打ち…」

「気のせいだろう。…そう言えば、一つだけ、ガムが残っていたんだった。これでもいいか?」

「あ、はい。それじゃあ私はこれで…」


 杏一郎からキシリトールガムを一粒受け取り、パーティー会場へと向かった。



パーティー会場


 会場には既にほとんどのメンバーが集まっていた。しかし篠谷の姿がない。きょろきょろと辺りを見回してもあのキラキラしいハニーブロンドが見当たらないのだ。


「………?」

「何かお探しですか?」


 話しかけられて振り返ると、視界いっぱいにオレンジ色のかぼちゃが映った。驚きに固まる私に、そのかぼちゃ(よく見ると目と口が彫り開けられている)が首を傾げる。


「大丈夫ですか? 真梨香さん」

「まさか…篠谷君?!」

「はい。ハッピーハロウィン、トリックオアトリートです」


 絶対王子とかそんなんだと思っていたのに、正統派ハロウィンコスプレ、ジャック・オ・ランタンで来るとは思わなかった。麗しい顔も眩しいハニーブロンドも隠されてしまっている。


「ちょっと待ってね…今……」


 慌てて懐を探ったが、あるはずのお菓子がない。どこかで落としたのだろうか。廊下を走った時だろうか…。ごそごそと懐を探る私に、目の前のジャック・オ・ランタンの笑ったような形の口の穴が更に口角を上げた幻が見えた。


「お菓子をお持ちでないのでしたら…せっかくなので悪戯を…」

「お姉ちゃーん!!!」


 じり、とジャックににじり寄られて、一歩後ずさった時、小柄な影が突進してきた。手には追加らしいお菓子の袋を持っている。助かった。これで何とか課題を完了できる。ぎゅううっとしがみついてきた桃香は蝙蝠の羽を背中に背負い、頭にも蝙蝠羽の付いたカチューシャ、黒ずくめのゴシックなミニドレスの裾から先っぽがスペードマークに尖った尻尾が垂れている。


「お姉ちゃん、お菓子の追加だよ!足りなくなっちゃうんじゃないかと思って用意してきたの!!」

「ありがとう、桃香は本当に天使ね!」

「いや、その格好はどう見ても悪魔でしょう」

「小悪魔姿もキュートよ」

「中身も小悪魔どころじゃないと思いますし」

「…篠谷先輩、お菓子あげますからちょっと静かにしませんか?」


 なぜか桃香と篠谷が睨み合いを始めた。間に散る火花が見えるようである。………?

 よくわからないがやたらと迫力のある睨み合いは、他のメンバーが集まって集合写真を撮ることを提案するまで続いたのだった。


唐突に終わるよ!

最終的に、悪魔のコスプレする妹に「天使!」って言っちゃう姉バカな真梨香が書きたかっただけというオチ。

皆様楽しいハロウィンをお過ごしください。

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