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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第一章

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25/202

第25話




 市での販売を終えた俺は、売り上げの報告をするためゴーラル様のところに足を運んだ。

 

「ゴーラル様」


 入室の許可が下りたため、部屋へと入り彼の名前を呼んだ。ゴーラル様はちらとこちらを見てきた。


「今日は市に商品を売りに行っていたようだな」

「はい。今回の売り上げは一万ゴールドになります。こちら、素材や工房の提供をしていただいているため、お納めいただければと」


 ……むき出しで一万ゴールドを渡すかどうか迷ったが、俺がすっと差し出すとゴーラル様は首を横に振った。


「いや、今は別に必要ない。それに、イーレア以下の魔鉱石は在庫処分のようなものだ」

「……そうなのですか?」

「ああ。だから、金に関しては自分の懐に入れておけ。ただ、その金額だと売れたのは精々一つ二つ程度だろう?」

「一つでした」

「そうか。まだまだのようだな。そんなのでは娘はやれん」

「もちろんです。これから販売数を増やしていくつもりです」

「出来るのならばやってみせるがいい」

「やってみせます。……アリシアの婚約者として」


 話は以上だ。俺はゴーラル様に一礼を返し、その場を後にした。

 イーレア以下の魔鉱石は在庫処分、か。


 確かに燃料として使うにもそこまでではないからな。魔道具の核として使う場合も、イーレア魔鉱石以下では使い勝手が難しい。


 もっと売るのに必要なのは市場の調査だな。

 ……どういったものを作ればより売れるのか。今のこの街で何の需要が高まっているのか。


 とりあえず明日はその様子を見に行こうか。

 部屋に戻り、ベッドで横になった俺は、それからすっと目を閉じた。




 次の日。俺は街へと来ていた。とりあえず、鍛冶や市を見て回ろうと思っていたからだ。


 隣には、以前のようにフード付きの服を身に着けたアリシアが並んでいる。

 俺が店を見て回ると伝えたら、一緒に行きたいと言ったため、今に至る。

 アリシアとは今日も手を繋いでいる。幾分、この関係にも慣れたものだ。


「とりあえず、どこに行く?」

「冒険者通りに行ってみようと思う。あそこなら、武器店も色々あったよな?」

「うん」


 アリシアとともに冒険者通りへと向かう。

 店には二種類ある。武器などが置かれた店舗のみの場合と、鍛冶工房に併設されたお店だ。


 店舗の場合は、必ずしも作っている人と販売員が同じとも限らない。商人が様々な鍛冶師に依頼して武器を作製してもらい、それを店舗に置いているという場合もある。


 色々な店を見て回る。冒険者たちも武器を購入しようと店舗内を見て回っているが、やはりもっとも需要が大きいのはロングソードだ。

 冒険者たちを見ていると、武器の見た目に拘る人もいるようだ。使用すれば同じ性能だとしても、見た目がかっこよかったり、持ち手や装飾などが凝っているもののほうが選ばれやすい。


 なるほど、と思う。実用性だけが求められているわけではないようだ。

 ロングソードと同じくらい人気なのがナイフだ。確かに、ナイフは色々と使う。

 戦闘中ならば投げナイフのように使うことも出来るし、魔物の解体用ナイフとしての需要もあるだろう。


 ナイフを見に来るのは冒険者だけではなく、主婦などもいるようだ。こちらは、ナイフとしての需要というよりは包丁としてだろう。さすがにそこまで多くはないため、わざわざ包丁を作って売り出すのはまた話が変わってくるだろう。


 とりあえず、ナイフを作ろうか。そう思ったところで、冒険者ギルドが見えた。


「冒険者ギルドにも行ってみていいか?」

「そういえば、登録まだだよね。ついでにする?」

「……あー、そうだな」


 何かと使う機会があるかもしれないからな。

 もしも、お金に困ったときは冒険者ギルドで稼ぐという手段もある。


 現状、衣食住のすべてをまかなってもらっているため、お金に困ること自体が滅多になさそうだけど。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 公爵家は優秀な鍛冶師を求めているのに、販売能力まで求めるんですね。 職人が販売をするのは大変だと思うから、商人と繋がれると良いですね。
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