第25話
市での販売を終えた俺は、売り上げの報告をするためゴーラル様のところに足を運んだ。
「ゴーラル様」
入室の許可が下りたため、部屋へと入り彼の名前を呼んだ。ゴーラル様はちらとこちらを見てきた。
「今日は市に商品を売りに行っていたようだな」
「はい。今回の売り上げは一万ゴールドになります。こちら、素材や工房の提供をしていただいているため、お納めいただければと」
……むき出しで一万ゴールドを渡すかどうか迷ったが、俺がすっと差し出すとゴーラル様は首を横に振った。
「いや、今は別に必要ない。それに、イーレア以下の魔鉱石は在庫処分のようなものだ」
「……そうなのですか?」
「ああ。だから、金に関しては自分の懐に入れておけ。ただ、その金額だと売れたのは精々一つ二つ程度だろう?」
「一つでした」
「そうか。まだまだのようだな。そんなのでは娘はやれん」
「もちろんです。これから販売数を増やしていくつもりです」
「出来るのならばやってみせるがいい」
「やってみせます。……アリシアの婚約者として」
話は以上だ。俺はゴーラル様に一礼を返し、その場を後にした。
イーレア以下の魔鉱石は在庫処分、か。
確かに燃料として使うにもそこまでではないからな。魔道具の核として使う場合も、イーレア魔鉱石以下では使い勝手が難しい。
もっと売るのに必要なのは市場の調査だな。
……どういったものを作ればより売れるのか。今のこの街で何の需要が高まっているのか。
とりあえず明日はその様子を見に行こうか。
部屋に戻り、ベッドで横になった俺は、それからすっと目を閉じた。
次の日。俺は街へと来ていた。とりあえず、鍛冶や市を見て回ろうと思っていたからだ。
隣には、以前のようにフード付きの服を身に着けたアリシアが並んでいる。
俺が店を見て回ると伝えたら、一緒に行きたいと言ったため、今に至る。
アリシアとは今日も手を繋いでいる。幾分、この関係にも慣れたものだ。
「とりあえず、どこに行く?」
「冒険者通りに行ってみようと思う。あそこなら、武器店も色々あったよな?」
「うん」
アリシアとともに冒険者通りへと向かう。
店には二種類ある。武器などが置かれた店舗のみの場合と、鍛冶工房に併設されたお店だ。
店舗の場合は、必ずしも作っている人と販売員が同じとも限らない。商人が様々な鍛冶師に依頼して武器を作製してもらい、それを店舗に置いているという場合もある。
色々な店を見て回る。冒険者たちも武器を購入しようと店舗内を見て回っているが、やはりもっとも需要が大きいのはロングソードだ。
冒険者たちを見ていると、武器の見た目に拘る人もいるようだ。使用すれば同じ性能だとしても、見た目がかっこよかったり、持ち手や装飾などが凝っているもののほうが選ばれやすい。
なるほど、と思う。実用性だけが求められているわけではないようだ。
ロングソードと同じくらい人気なのがナイフだ。確かに、ナイフは色々と使う。
戦闘中ならば投げナイフのように使うことも出来るし、魔物の解体用ナイフとしての需要もあるだろう。
ナイフを見に来るのは冒険者だけではなく、主婦などもいるようだ。こちらは、ナイフとしての需要というよりは包丁としてだろう。さすがにそこまで多くはないため、わざわざ包丁を作って売り出すのはまた話が変わってくるだろう。
とりあえず、ナイフを作ろうか。そう思ったところで、冒険者ギルドが見えた。
「冒険者ギルドにも行ってみていいか?」
「そういえば、登録まだだよね。ついでにする?」
「……あー、そうだな」
何かと使う機会があるかもしれないからな。
もしも、お金に困ったときは冒険者ギルドで稼ぐという手段もある。
現状、衣食住のすべてを賄ってもらっているため、お金に困ること自体が滅多になさそうだけど。
1位目指して頑張ります!
・ブックマーク
・評価「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」
をしていただきますととても嬉しいです!
新連載になります。↓ 下のリンクから読んでみてください!
世界最高の精霊術師 ~双子だからと虐げられていた私は、実は精霊たちに溺愛されていたようです。私を追放してしまった家は……後悔してももう遅いです~
https://book1.adouzi.eu.org/n8840gp/




