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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第一章

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第21話



 宮廷にいたころは強力なエンチャントをお願いされていたので、週一でのメンテナンスが必須だった。


 というのも、騎士たちは冒険者たちで対応できない危険な魔物の討伐依頼などを請け負うため仕方ないのだが、一般的な冒険者用ならばあまりメンテナンスの必要がないもののほうがいいだろう。


 そう思った俺はそこそこに強く、一ヵ月程度メンテナンスをしなくても済むエンチャントを施した。……まあ、無茶な使い方をすればその限りではないんだがな。


 二本目を作ったところで一度、昼休憩。

 それから俺は午後もロングソードの作製を行っていく。


 鍛冶師が鍛冶をできなくなるのは魔力が切れた時などだが、俺の場合魔力はかなりある。

 宮廷で死ぬほどエンチャントを行っていたせいか、昔に比べて魔力が増えたという実感もある。


 毎日気絶するくらい魔力を使えば、魔力の最大量は増えるのかもしれない。ただし、体にもかなりの負担となるのであまりオススメは出来ない。

 そんな感じで合計五本目のロングソードの作製を終えた。


 仕上げが終わり箱にロングソードを戻し、さて次に行こうか。そう思ったときだった。

 視界の隅で、何かが動いた。そちらに意識を向けると、アリシアがいた。


 俺がぎょっと驚いていると、彼女は苦笑するようにして笑った。

 「気づいていなかったの?」といった笑みだった。またやってしまった。


「もう、陽落ちたよ? 休んだ方がいい」


 ひょこりと、現れたアリシアがそんなことを言ってきた。

 ……部屋には光源として火魔法を用意していたため、あまり意識していなかったが外を見ればすでに暗くなっていた。

 

 出来上がったロングソードたちが入った箱を見る。

 一日で5本作り終わった。仕上げに自分が作った証明とばかりに柄部分に名前をつけておいた。


 魔力で刻みこんだそれは、パッと見では俺の名前と分からないが、サインというのはそういうものだ。

 

 多少、エンチャントに時間をかけすぎてしまった部分はあったので、もっと効率よくいければ一日10本程度は作れるか。


 ……あとは、単純に疲労しないかどうかだな。


「あんまり疲れてないな……」

「だ、だけど休まないと。もう朝から十分働いたよ?」

「そ、そうだよな」


 ……もはや働くのが癖になってしまっていた。危ない危ない。気を付けないとな。

 これで体を壊してしまったら大変だ。

 

「ロングソード……明日売りに行くの?」

「そうだな。市とかってあるのか?」


 とりあえず実際に販売してみて、どのような反応をされるか見てみたい。

 イーレア魔鉱石を使ったとはいえ、俺としては3万ゴールドから5万ゴールドくらいで取引できるのではと思っている。

 この金額なら、Dランク冒険者がメイン武器として購入するのにちょうどいいくらいだろう。


 Eランク冒険者がちょっと無理をして、という感じだな。


「うん。確か明日と明後日は広場のところに商人が集まる」


 この前街案内をしてもらったときに、そのような話を聞いていた。

 この街の中央からやや南の位置に噴水広場というのがある。そのため、中央ではないのだが人によっては中央広場と呼んでいることもあるのだとか。


 毎週末にかけてそこで市が開かれるそうで、季節によっては前日から場所の取り合いなどが行われるそうだ。

 俺は荷車にロングソードを入れて運ぶ程度になると思うので、それほど場所を必要とはしないだろう。


「とりあえず明日、五本のロングソードを販売してみるかな」

「それじゃあ、私も手伝うね」

「いや、ゴーラル様から言われているんだ。公爵家の力をひけらかして販売するのは禁止だって」

「仮面つける」

「……それは」

「一緒に、手伝うよ。……私が、お願いしたんだから」

「分かった。ゴーラル様に一応確認してからでいいか?」

「うん、私から聞いてみるね。たぶん、そうしたら納得してくれると思う、から」


 ……まあ、俺から伝えるよりはゴーラル様が許可を出してくれるかもしれない。




 一緒に夕食を食べた後、俺が浴室で汗を流し終えたときだった。

 廊下に出ると、アリシアが笑顔とともにピースを作った。

 

「お父さん、いいって」

「そっか。それじゃあ、明日はよろしくな」

「うん。フェイクの武器が優れているってみんなに伝わるように頑張る、ね」

「……ああ、ありがとな」


 アリシアにここまでしてもらうんだ。一本も売れない、というのはどうにかして避けないとな。

 同時に、楽しみだった。

 宮廷に入る前は、お金のやり取りではなく物々交換だったからだ。小さな村で鍛冶をしていたため、お互いの技術を分け合って生活していたようなものだった。


 俺が包丁や自警団の武器を作り、代わりに農作物や衣服、住居などを提供してもらっていた。


 だから、このような商売は初めてだ。宮廷鍛冶師になってから相場についての勉強を片手間にしていたので、ある程度詳しくはなったと思っているが、それでも自分のロングソードにどれくらいの値段をつけてもらえるかは分からない。


 そういった部分含めて、商売だ。

 ……楽しんでこようか。


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